50代未経験で介護職に転職できる理由を解説!メリット・注意点も紹介

50代未経験で介護職に転職できる理由を解説!メリット・注意点も紹介

「介護職に挑戦したいけれど、50代・未経験で転職できるか不安」

「長く続けられる介護の職場の選び方がわからない」

介護職への転職を検討している50代の方のなかには、上記のような悩みがある方もいます。

介護職は50代・未経験でも転職可能です。しかし、職場によっては体力が必要なため、自分に合った転職先選びが重要です。

本記事では、50代・未経験で介護職に転職できる理由を中心に解説します。家事スキルを生かせる職場や夜勤なしで働ける職場といった50代におすすめな職場も紹介するため、介護職への転職を検討中の方はぜひご覧ください。

50代・未経験でも介護職に転職できる

笑顔の女性介護職

介護職は、以下2つの理由から50代・未経験でも転職可能です。

  • 介護労働者の平均年齢は50歳
  • 介護業界の人手不足は深刻

それぞれ解説します。

介護労働者の平均年齢は50歳

介護職が50代・未経験から転職できる理由として、介護業界で働く労働者の平均年齢が比較的高いことが挙げられます。

2022年に公益財団法人 介護労働安定センターが実施した調査によると、介護施設で働く介護職員や訪問介護事業所で働く訪問介護員などを含めた「介護労働者」の平均年齢は50歳でした。なかでも、訪問介護員の平均年齢は54.7歳であり、50歳以上が6割を超えています。

また、職員の採用における工夫として「介護資格や介護経験の有無にこだわらないようにしている」と答えた事業所は41.5%でした。このことから、介護職は50代・未経験でも挑戦しやすい仕事といえます。

参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

介護業界の人手不足は深刻

介護業界の人手不足が深刻な状況であることも、50代・未経験で介護職に転職できる理由の一つです。

厚生労働省が2024年に試算した結果によると、2026年には25万人不足する見込みで、人手不足が深刻化しています。国をあげて介護職の処遇改善や多様な人材の確保・育成などに力を入れており、未経験で挑戦できる求人も多くみられます。

介護事業所のなかには、定年延長や定年後の継続雇用が進み、定年や継続雇用期間満了による退職者が減ったことで離職率が低下した職場もあります。よって、50代・未経験で介護職へ転職しても、働き続けやすい職場は多いといえます。

参照:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

50代で介護職に転職する3つのメリット

50代で介護職に転職するメリットは以下の3つです。

  • これまでの人生経験を生かせる
  • 60歳以降も働ける可能性が高い
  • 資格取得によりキャリアアップを目指せる

これまでの人生経験を生かせる

50代の方は、若手にはない豊かな人生経験を生かせる点がメリットです。介護職は、利用者様やそのご家族だけでなくほかの介護スタッフや看護師・ケアマネジャー・生活相談員など多くの関係者と接します。誰とでもコミュニケーションを取れる対人スキルが求められるため、多くの人々と接してきた50代の方はこれまでの経験を仕事に生かせます。

また、介護職はご利用者様の看取りをはじめとする人生の岐路に立ち会うこともあります。このような場面では、ご利用者様やご家族に寄り添い、心のケア・サポートも提供します。50代の方であれば、これまで培ってきた倫理観や人間力をもとに、心強いサポートを提供できるでしょう。

60歳以降も働ける可能性が高い

介護職は、60歳以降も働ける可能性が高いのもメリットです。ほかの業界の定年年齢は60~65歳前後で、その後の雇用は厳しい傾向があります。しかし介護業界では、定年後の雇用上限年齢を定めていない職場もあり、60歳以降も働ける可能性が高いです。

ただし、再雇用制度の有無・条件は職場によって異なります。転職先で長く働き続けたい場合は、事前に確認しておくことが大切です。

資格取得によりキャリアアップを目指せる

介護職のキャリアアップの候補として「介護福祉士」や「ケアマネジャー(介護支援専門員)」などがあります。このような資格を取得すれば、年齢に関係なくキャリアアップできるのもメリットです。

たとえば介護福祉士の場合、3年以上の実務経験、かつ「介護福祉士実務者研修」を修了すれば、国家試験を受けることが可能です。

介護福祉士の資格取得によって手当がつく職場も多く、資格手当の平均月額は9,055円です。給与面で考えても、資格取得によるメリットは大きいといえます。

参照:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書」

以下の記事では、介護福祉士の仕事内容を解説しています。介護士との違いや1日のスケジュール例なども紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

介護福祉士の仕事内容を職場ごとに徹底解説!介護士との違い・1日のスケジュールまで紹介

50代で介護職に転職する際の注意点

ビックリマーク

50代で介護職に転職する場合、以下3点に注意しましょう。

  • 希望の年齢まで正社員で働けない可能性がある
  • 仕事を覚えるのが大変に感じる可能性がある
  • 給与が前職より下がる可能性がある

2022年に公益財団法人 介護労働安定センターが実施した調査によると、介護事業所の約35.3%は定年を60歳と定めています。特に施設系では定年60歳の割合が高いため、希望の年齢まで正社員として働けるかどうか確認したうえで転職しましょう。

また、介護業務は利用者様への直接的なケアから事務業務まで幅広いうえ、ICT化によりパソコンやタブレット操作に慣れることも求められます。そのため、覚えることが多く、業務に慣れるまでは大変に感じる可能性があります。

さらに、前職より給与が下がる可能性もあります。体力面や勤務形態とあわせて条件を確認し、長く働ける職場を選ぶことが大切です。

参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

50代・未経験が介護職へ転職する際に求められる条件

50代の方は若手にはない強みがある一方で、採用されるには求められる条件もあります。50代・未経験が介護職へ転職する際に求められるのは、以下の条件です。

  • 自分の健康面・体力面に不安がない
  • 誰とでもコミュニケーションが取れる
  • 柔軟な姿勢で仕事に取り組める

自分の健康面・体力面に不安がない

50代・未経験で介護職に転職する場合、健康面・体力面に不安があるとマイナス要素になる可能性があります。

介護職はある程度の体力が求められるうえ、日勤以外に早番・遅番・夜勤などの不規則な勤務の職場もあります。自分自身の健康面・体力面に不安がある場合、転職できたとしても仕事を続けられなくなる可能性もあるため、注意が必要です。

誰とでもコミュニケーションが取れる

介護職は、サービスを利用する利用者様や一緒に働くスタッフだけでなく、ケアマネジャーや看護師などの他職種や、利用者様のご家族、関係機関の関係者など、多様な人々とやり取りします。そのため、性別・年齢・立場を問わず、誰とでも円滑にコミュニケーションを取れる対人スキルが求められます。

また、50代・未経験で転職する場合、20代や30代のスタッフが上司になる可能性もあります。年齢に関係なく指導を受け入れられるかどうかを面接で確認されるケースもあるため、協調性や柔軟性の高さをアピールしましょう。

柔軟な姿勢で仕事に取り組める

50代はこれまでの人生や仕事で培った経験を生かせる一方で、その経験に固執しすぎると新しい環境に馴染みにくくなる恐れがあります。介護の現場は職場ごとにルール・方針が異なり、状況に応じた柔軟な対応が求められます。そのため、過去のやり方にこだわらず、指導を素直に受け入れながら学んでいく姿勢が重要です。

経験と柔軟性をバランスよく発揮できれば、信頼を得て活躍できるでしょう。

50代・介護職の平均給与

2022年に厚生労働省が実施した調査によると、50代・介護職の平均給与は男性が339,040円、女性が317,030円でした。介護職全体の平均給与は317,640円のため、男性はやや多い一方で、女性は平均と同程度といえます。

参照:厚生労働省老健局老人保健課「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

50代で介護職に転職するのにおすすめの職場

パソコン前で微笑む女性

ここからは、50代で介護職に転職するのにおすすめの職場を、以下の特徴別に紹介します。

  • 家事スキルを生かせる「グループホーム」
  • 柔軟に働ける「訪問介護」
  • 給与が比較的高い「特別養護老人ホーム(特養)」
  • 夜勤なしで働ける「デイサービス」

家事スキルを生かせる「グループホーム」

家事スキルを生かして働きたい方には「グループホーム」がおすすめです。グループホームは、認知症と診断された要支援2・要介護1~5の方が5〜9人程度で生活する施設です。

スタッフは利用者様の自主性を尊重しつつ、苦手な部分をサポートするため、家庭で培った家事スキルや生活の知恵をそのまま生かせます。家庭的な雰囲気を大切にする職場のため、専業主婦・主夫経験や育児・家族介護の経験が評価されやすく、未経験や体力面に不安がある50代でも安心して働ける環境です。

参照:介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」

柔軟に働ける「訪問介護」

時間・日数などに縛られず、柔軟に働きたい方には「訪問介護」がおすすめです。訪問介護は、午前・午後のみや週数日だけなど、自分の生活に合わせた働き方が可能です。業務内容は生活援助や軽度の身体介助が中心で、施設に比べて体力的な負担が少なく、年齢を重ねても続けやすいといえます。

また、利用者様の自宅で一対一の支援を行うため、人生経験や対話力を生かしながら信頼関係を築けるのも魅力です。50代以上のヘルパーが多く活躍しており、無理なく働き続けられます。

以下の記事では、訪問介護員(ヘルパー)の働き方について詳しく解説しています。転職にあたって必要な資格も紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

訪問介護員への転職は大変?働き方や1日のスケジュール例もご紹介

給与が比較的高い「特別養護老人ホーム(特養)」

待遇面を重視する方には「特別養護老人ホーム(特養)」がおすすめです。特別養護老人ホームは、原則要介護3以上で常に介護が必要な方が暮らす施設です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設(老健)などの施設系は、夜勤があるため給与が高い傾向があります。

2024年に厚生労働省が実施した調査によると、サービス種類別の平均給与額は以下のとおりです。

サービス種類平均給与額(常勤)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)361,860円
特定施設入居者生活介護事業所(有料老人ホームなど)361,000円
介護老人保健施設352,900円
認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)302,010円
参照:厚生労働省老健局老人保健課「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」

このように、施設系のなかでも特別養護老人ホームの給与は比較的高いといえます。

参照:介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」

夜勤なしで働ける「デイサービス」

夜勤に不安のある方には、夜勤なしで働ける「デイサービス」がおすすめです。デイサービスは基本的に日中のみ営業しており、夜勤はありません。業務内容は食事介助や入浴介助、レクリエーション、送迎などが中心で、身体介護がメインの施設に比べて体力的な負担は軽めです。

また、介護度の低い利用者が多い傾向があり、未経験の方でも安心して働ける環境が整っています。

体力に不安がある場合は「介護助手」として働く方法もあります。介護助手が身体介護に対応せず、介護職の補佐的な役割を担います。以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。

介護助手とは?転職するメリット・デメリットやきついと感じる要因を解説

50代が介護職への転職を成功させるポイント

笑顔で右手を上げる女性

50代が介護職への転職を成功させるには、以下3つのポイントを意識しましょう。

  • 介護資格を取得しておく
  • 介護の仕事に生かせる経験をアピールする
  • 正社員以外も検討する

「介護職員初任者研修」をはじめとする介護資格を取得しておくと、選考時に有利です。たとえば、介護職員初任者研修を修了しておけば、施設系だけでなく訪問系にも応募できるため、転職先の選択肢が広がります。

また、面接時の自己アピールでは、これまでの経験を積極的にアピールしましょう。家事や接客、PCスキルだけでなく、音楽や芸術、スポーツなどもレクリエーションに生かせます。

さらに、正社員希望であってもなかなか採用されない場合、パートや契約社員といった働き方を選ぶこともポイントです。なかには正社員登用前提の求人もあるため、契約社員で入職したのちに正社員を目指す方法もあります。

50代・未経験で介護職へ転職した場合のキャリアプラン

50歳・未経験で介護職へ転職した場合、以下のようなキャリアプラン例があります。

年数年齢キャリアプラン
1~3年目50歳~53歳・介護職として実務経験を積む
・介護福祉士実務者研修を修了する
4年目54歳・介護福祉士を取得する
5~7年目55歳~57歳・介護福祉士として実務経験を積む
8年目58歳・ケアマネジャーを取得する

よって、50歳で介護職に転職すれば、58歳でケアマネジャー(介護支援専門員)資格を取得できます。

なお、上記はあくまでも最短で考えた場合のキャリアプランです。試験を受けるには、それぞれ求められる勤務日数を満たしている必要があるため、注意しましょう。

50代・介護職への転職でよくある3つの質問

50代で介護職へ転職するにあたって、よくある質問は以下の3つです。

  • 質問1.介護職の仕事はきついですか?
  • 質問2.介護職に転職できる年齢に制限はありますか?
  • 質問3.転職にベストなタイミングはいつですか?

質問1.介護職の仕事はきついですか?

介護職の仕事は、大きく分けて生活援助と身体介護に分けられます。

生活援助身体介護
・食事の準備、配膳、下膳
・洗濯
・掃除
・衣服の整理 など
・食事介助
・入浴介助
・清拭
・排泄介助
・更衣介助
・移動介助 など

おむつ交換をはじめとする「排泄介助」や利用者様を抱える「移乗介助」などを含む身体介護は、身体的にきついと感じるケースもあります。

質問2.介護職に転職できる年齢に制限はありますか?

介護職に転職できる年齢に制限はありません。特に訪問介護事業所は、70歳以上の割合が13.5%を占めており、年齢層の高い方が活躍しています。

以下の記事では、シニア世代が介護職に転職できる理由を解説しています。

介護職に転職できる年齢は何歳まで?シニア世代の転職先の選び方も解説

質問3.転職にベストなタイミングはいつですか?

介護業界の求人は年間を通して多いものの、4〜6月は有効求人倍率が特に高くなる時期です。そのため、より多くの求人から自分に適した転職先を選びたい場合は、4~6月に転職活動を始めるのがおすすめです。

以下の記事では、介護業界での転職におすすめな時期について、詳しく解説しています。「ボーナスを受け取ってから転職したい」「入職時に指導を受けられる環境で働きたい」といった希望別のタイミングも紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

介護業界での転職におすすめな時期は?退職の意向を伝える時期・円満退職のポイントも解説

まとめ

笑顔の高齢女性と男性介護職員

介護職は「平均年齢が50歳」「介護業界の人手不足が深刻」といった背景から、50代・未経験でも転職しやすい職種です。また、経験年数を積めば資格を取れることから、年齢に関係なくキャリアアップを目指せるのも魅力です。

本記事で紹介した50代におすすめの職場も参考に、介護業界への転職を成功させましょう。

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この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

かいごマガジン編集部です。
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