【入所申込書】養護老人ホームと特別養護老人ホームの入所理由の書き方を解説!

【入所申込書】養護老人ホームと特別養護老人ホームの入所理由の書き方を解説!

「老人ホームへの入所理由はどんなものがあるの?」

「入所申込書にはどんな理由を書けばいいの?」

このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

入所申込書は、老人ホームへの申し込みに欠かせない書類です。内容によって優先順位が左右されるため、入所を希望する理由は具体的に記載しなければなりません。

本記事では、特別養護老人ホームと養護老人ホームの入所理由と、入所申込書における入所理由の書き方を解説します。

老人ホームへの入所理由は?

老人ホームへの入所理由は?

住み慣れた自宅から老人ホームへの入所に至るには、どのような理由があるのでしょうか。

特別養護老人ホームへの入所理由

特別養護老人ホームへの入所を決めた具体的な理由は次の通りです。

  • 認知症などにより自宅での生活が困難になった
  • 介護する家族がいない
  • 家族による介護が難しい

介護者である家族が限界を感じ、施設への入所を決めるケースもあります。認知症が進行したり介助量が増えたりすると、昼夜問わず介護しなければなりません。

家族自身が病気や障害などを抱えていれば、負担はさらに大きくなります。家族による介護が難しくなった場合は、施設への入所を選択することもあるでしょう。

高齢者が1人暮らしに不安を感じて施設に入所するケースもあります。高齢になると「急に体調不良になったら」「怪我をして動けなくなったら」と不安を抱える方も少なくありません。

特別養護老人ホームはスタッフが24時間常駐しており、1人で暮らすよりも安心して生活できることも理由の1つです。

養護老人ホームへの入所理由

養護老人ホームへの入所を決めた具体的な理由は次の通りです。

  • 同居家族が急死したが、認知症により自宅での生活が困難なうえに他施設への入所もできない状況
  • 同居している家族から虐待を受けた
  • 近隣住民とのトラブルにより立ち退きを迫られたが、すぐに入れる行き先なかった
  • 利用可能な施設が見つかるまでの住まいとして

養護老人ホームでは、自宅での生活が難しくなったことが入所する主な理由となっています。ほかにも地域によっては冬季の2~3ヶ月のみ、冬を越すために入所するケースもあります。

入所申込書における入所理由の書き方のコツ

入所申込書における入所理由の書き方のコツ

老人ホームに申し込むには、入所理由を記載した入所申込書を提出しなければなりません。緊急性が高い方から入所となるため、待期期間を左右する重要な書類です。また、施設によって入所できる対象者が異なるため、書き方のコツはそれぞれ異なります。

特別養護老人ホームの場合

入所理由の書き方のコツは次の2つです。

  • 疾患や状態を細かく記載する
  • 自宅での介護が難しい理由を具体的に記載する

それぞれ解説します。

疾患や状態を細かく記載する

現在の疾患や心身の状態を細かく記載すると、入所の必要性が伝わりやすいでしょう。入所を希望する方が普段どの程度の介護が必要かの指標として「日常生活動作(ADL)確認表」が活用できます。

日常生活動作(ADL)確認表は、その方が生活を送るのにどのような介護が必要なのかを記載する書類です。食事や排泄などの場面ごとに細かい情報が記載できるため、入所判定に携わる関係者に入所の必要性が伝わりやすいというメリットがあります。

担当のケアマネジャーに作成を依頼できることもあるため、相談してみましょう。また、特例で入所できるケースもあります。特例として認められるのは次のような方です。

  • 認知症の症状により日常生活に支障があり、在宅生活が困難な方
  • 知的障害・精神障害などにより日常生活に支障があり、在宅生活が困難な方
  • 家族などによる虐待の疑いがあり、心身の安全・安心の確保が困難な環境に置かれている方
  • 1人暮らしなどの理由により家族によるサポートが受けられず、かつ、地域での介護サービスなども十分に受けられないことにより、在宅生活が困難な方

上記に該当していれば、要介護1・2の方でも入所が認められるケースもあります。要介護3以上の方でも該当する内容があれば、必ず記載しましょう。

自宅での介護が難しい理由を具体的に記載する

在宅介護の環境はそれぞれ異なります。なかには家族が就業していたり、持病や障害を抱えたりしながら介護を続けているケースもあります。自宅で介護を続けることが難しい理由も、具体的に記載しましょう。

例えば、認知症の症状によって徘徊することもあります。その場合は徘徊の時間帯や回数、さらに行動範囲などの情報も詳しく記載しましょう。

特に深夜に徘徊するケースでは事故や事件に巻き込まれる恐れもあります。家族が常に見守らなければならない状況下では、身体的にも精神的にも負担が大きくなる傾向があります。

内容によっては入所の順位が繰り上げられる可能性もあるため、その症状によって介護者である家族の生活にどのような影響があるのかを具体的に記載しましょう。

養護老人ホームの場合

入所理由の書き方のコツは次の2つです。

  • 入所基準を理解したうえで記載する
  • 生活状況を細かく記載する

それぞれ解説します。

入所基準を理解したうえで記載する

養護老人ホームは誰でも入所できる施設ではありません。そのため、入所基準を理解したうえで入所理由を記載しましょう。

養護老人ホームは、生活が困難で経済的にも厳しい状況に置かれている65歳以上の方が対象です。しかし、65歳未満であっても以下のような方は入所が認められるケースもあります。

  •  老衰が著しく、かつ、救護施設の入所要件を満たしていても受け入れる余力がないため、救護施設に入所できないケース
  •  初老期における認知症(若年性認知症)に該当するケース
  •  夫婦のうち一方が施設に入所する場合、もう一方が年齢以外の入所基準を満たしているケース

上記の中で当てはまる状態があれば、入所理由欄に積極的に記載しましょう。

生活状況を細かく記載する

養護老人ホームの入所可否は、現在置かれている状況によって判断されます。そのため、生活状況や困っている点などは細かく記載しましょう。

例えば住まいがなかったり、家族などからサポートを受けられなかったりする状況であれば、入所が認められるケースもあります。また、虐待を受けている場合は優先的に入所できる傾向があります。

市区町村によって入所基準が異なるため、困っている点はどんな些細な内容でも記載しましょう。

特別養護老人ホームと養護老人ホームの異なるポイント

特別養護老人ホームと養護老人ホームの異なるポイント

特別養護老人ホームと養護老人ホームは、サービス内容や対象者が異なります。それぞれの施設の概要を解説します。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、身体的または精神的な理由によって在宅生活が困難な高齢者が入所できる施設です。食事や入浴、排泄など、生活に欠かせないサポートが受けられます。介護・生活支援を目的として運営されており、介護保険が適用されます。

対象者

入所の対象となるのは、次のような方です。

  • 要介護3~5に認定された65歳以上の方
  • 特例で認められた要介護1・2の方
  • 要介護度3以上で特定疾病をお持ちの40~64歳以上の方

特定疾病は、がんや初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患などの16種類が対象となります。

申し込みに必要な書類

申し込みに必要な書類は次の通りです。

  • 入所申込書
  • 介護保険被保険者証のコピー(認定有効期限内のもの)など

なお、施設によって提出書類は異なるため、あらかじめ確認しましょう。

入所手続きの流れ

入所手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 入所を希望する施設から申し込みに必要な書類を入手する
  2. 必要書類を揃える
  3. 施設や市区町村の窓口などに申し込む
  4. 入所可能との連絡が入ったら、入所日を施設と調整する
  5. 自宅または施設にて契約する
  6. 特別養護老人ホームに入所する

なお、住民票は入所先の所在地に異動するのが原則です。

養護老人ホーム

養護老人ホームは、生活が困難で経済的にも厳しい状況に置かれている高齢者が、社会復帰できるようにサポートする施設です。食事の提供や健康管理などの自立支援が受けられます。養護を目的として運営されているため、介護保険は適用されません。

対象者

入所の対象となるのは、現在置かれている環境では生活が難しく、経済的にも問題がある65歳以上の方です。

具体的には次のような方です。

  • 無年金などで経済的に困っている方
  • 1人暮らしの高齢者
  • 身体的な障害を持っている方
  • 住まいがない方
  • 賃貸住宅からの立ち退きを迫られている方

なお、個別に介護サービスを契約すれば、介護が必要な方であっても養護老人ホームで生活できます。

申し込みに必要な書類

申し込みに必要な書類は次の通りです。

  • 入所申込書
  • 住民票
  • 医療証のコピー
  • 介護被保険者証のコピー
  • 収入額が確認できる書類(年金証書のコピーなど)
  • 収入申告書など

なお、市区町村によって提出書類は異なるため、あらかじめ確認しましょう。

入所手続きの流れ

入所手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 市区町村役場や地域包括支援センターなどで入所基準を満たしているか相談する
  2. 市区町村の窓口へ必要書類を提出する
  3. 担当者による訪問調査を受ける
  4. 入所可能との連絡が入ったら、入所日を施設と調整する
  5. 養護老人ホームに入所する

入所可能となった場合、市区町村から養護老人ホームへ連絡が入ります。入所日の調整からは施設と入所希望者が直接やり取りします。

まとめ

まとめ

特別養護老人ホームと養護老人ホームは、対象者やサービスが異なるため入所理由も異なります。しかし、いずれも自宅での生活が難しいことから、適切なサポートを受ける必要があります。入所理由の書き方のコツを押さえ、適切な施設で生活できるように入所申込書を準備しましょう。

この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

かいごマガジン編集部です。
介護の専門的な情報をどこよりもわかりやすく紹介していきます。
また、世の中の介護がどのように変化していっているのか最新の情報も随時発信していきますのでお楽しみに!
※Twitterは準備中です。