介護職に転職できる年齢は何歳まで?シニア世代の転職先の選び方も解説

介護職に転職できる年齢は何歳まで?シニア世代の転職先の選び方も解説

「介護職に挑戦したいけれど、自分の年齢が気になって踏み出せない」

「未経験でも介護職として採用されるか不安」

介護職への転職を検討中のシニア世代の方のなかには、上記のような悩みがある方もいます。

介護職の平均年齢は50歳であり、転職できる年齢にも制限はありません。また、これまでの人生経験を活かせたり利用者様と信頼関係を築きやすかったりするなど、シニア世代ならではの強みもあります。

本記事では、シニア世代が介護職で活躍できる理由を解説します。転職するメリットや注意点、希望別の転職先の選び方も紹介するため、ぜひご覧ください。

介護職へ転職できる年齢に制限はない

食事する高齢女性と見守る男性ヘルパー

介護職へ転職できる年齢に制限はありません。健康状態や体力などに問題がなければ、60歳以上の方でも働くことが可能です。

シニア世代も介護職で活躍できる理由に、以下の3つが挙げられます。

  • 介護労働者の平均年齢は50歳
  • 2026年には介護職員が25万人不足する見込み
  • 定年後の雇用上限年齢がない職場も

介護労働者の平均年齢は50歳

2022年に公益財団法人 介護労働安定センターが実施した調査によると、介護労働者の平均年齢は50歳でした。介護労働者には、介護施設で働く「介護職員」や、訪問介護事業所で働く「訪問介護員」などが含まれます。

特に訪問介護員の平均年齢は54.7歳で、70歳以上の割合が13.5%を占めています。介護の職種のなかでも、年齢層の高い方が活躍しているのが特徴です。

参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

2026年には介護職員が25万人不足する見込み

2024年に厚生労働省が試算した結果によると、2026年には介護職員が25万人不足する見込みです。そのため、国をあげて介護職員の処遇改善や多様な人材の確保・育成などに力を入れており、シニア層が働き続けやすい環境づくりが進んでいます。

介護事業所のなかには定年延長や定年後の継続雇用が進み、定年や継続雇用期間満了による退職者が減ったことで実際に離職率が低下している職場も存在します。

参照:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

定年後の雇用上限年齢がない職場も

2022年に公益財団法人 介護労働安定センターが実施した調査によると、定年を迎えた職員を引き続き雇用した場合の上限年齢は「特に定めていない」と答えた事業所が47.8%と、大半を占めています。

再雇用制度の有無・条件は職場によって異なるため、転職先で長く働き続けたい場合は事前に確認しておくことが大切です。

参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

50歳・60歳から介護職に転職する3つのメリット

笑顔の中高齢ヘルパー

50歳・60歳以降のシニア世代が介護職に転職するメリットは以下の3つです。

  • これまでの人生経験を仕事に活かせる
  • 利用者様と信頼関係を築きやすい
  • 資格取得でキャリアアップを目指せる

これまでの人生経験を仕事に活かせる

介護職では、年齢を重ねたからこその経験や人間力が大きな強みとなります。たとえば専業主婦として培った家事スキルは、訪問介護サービスにおける掃除・洗濯・調理などの支援で役立ちます。

50代・60代の方は家族への介護経験がある方もいるため、若い介護職員と比べ、利用者様やそのご家族の気持ちに寄り添ったケアを提供しやすいのもメリットです。

利用者様と信頼関係を築きやすい

介護サービスを利用するのは、原則として65歳以上の高齢者です。介護職側が50代以上であれば、利用者様と世代が近く共通の話題も多いです。そのため、コミュニケーションを深めて信頼関係を築きやすい点が、若い介護職員にはない強みといえます。

資格取得でキャリアアップを目指せる

介護職のキャリアアップの選択肢として「介護福祉士」や「ケアマネジャー(介護支援専門員)」などがあります。50代・60代から資格を取得してキャリアアップを目指せるのが、介護職に転職するメリットです。

たとえば介護福祉士を取得する場合、介護福祉士養成施設や福祉系高校を卒業していなければ、国家試験を受験するのに3年以上の実務経験、かつ「介護福祉士実務者研修」の修了が求められます。

介護福祉士取得によって手当がつく職場は多く、資格手当の平均金額は月額9,055円です。キャリアアップだけでなく給与面から考えても、資格取得によるメリットは大きいといえます。

参照:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書」

50歳・60歳から介護職に転職する際の注意点

注意点

50歳・60歳以降のシニア世代が介護職に転職する場合、以下の点に注意しましょう。

  • 希望の年齢まで正社員で働けない可能性がある
  • 仕事を覚えるのが大変な可能性がある
  • 給与が前職より下がる可能性がある

希望の年齢まで正社員で働けない可能性がある

正社員には定年が設けられており、介護事業所においても全体の35.3%が60歳の定年を定めています。そのため、60歳を超えても正社員として働きたい場合は、自身が希望する年齢まで働き続けられるか確認しましょう。

特に、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設系は、定年60歳の割合が55.6%と高いです。一方で定年を設けていない事業所も存在するため、定年の有無・年齢を確認したうえで転職先を探しましょう。

参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

仕事を覚えるのが大変な可能性がある

介護職の業務は幅広いうえ、利用者様1人ひとりのケアで配慮すべき点も異なります。そのため、仕事内容を覚えるのが大変と感じる可能性があります。

また、近年では介護現場のICT化が進んでおり、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを活用している事業所が多いです。特に、利用者様を支援するうえで欠かせない「介護記録」の入力で使用する場面が多く、機械の操作が苦手な方は慣れるまで苦戦する可能性があります。

現場の職員に確認するのはもちろんのこと、パソコンやシステムなどのマニュアルを整備している職場もあるため、焦らず慣れていきましょう。

給与が前職より下がる可能性がある

前職で長く働き続けている場合、50代・60代で転職すると給与が下がる可能性があります。そのため、転職先を探す際は給与額を確認し、条件に納得したうえで入職しましょう。

また、介護職の給与は、身体介助の機会が多い「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」など、体力が必要だったり夜勤があったりする職場ほど給与額も高い傾向があります。

そのため、体力面や健康面に不安のある場合は、給与額だけにとらわれずに「身体介助が多く身体への負担があるか」「日勤以外に夜勤もあって不規則なシフトか」といった点も確認しつつ、働き続けられる職場を選びましょう。

【介護職】シニア世代の転職先の選び方

ここからは、介護職におけるシニア世代の転職先の選び方を、以下の希望別に紹介します。

  • 給与の高い職場で働きたい
  • 体力面で無理せず働き続けたい
  • 夜勤なしで日勤のみで働きたい

給与の高い職場で働きたい

給与の高い職場で働きたい場合、以下のような事業所がおすすめです。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 特定施設入居者生活介護事業所(有料老人ホームなど)

上記の施設は夜勤があるケースが多く、ひと月あたりの給与に夜勤手当が上乗せされます。

実際に、2024年に厚生労働省老健局老人保健課が実施した調査によると、サービス種類別の平均給与額は以下のようになっています。

サービス種類平均給与額(常勤)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)361,860円
特定施設入居者生活介護事業所361,000円
介護老人保健施設352,900円
訪問介護事業所349,740円
認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)302,010円
通所介護事業所(デイサービス)294,440円

参照:厚生労働省老健局老人保健課「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」

給与面を第一に考える場合は、夜勤があるだけでなく、夜勤手当の金額が高い職場への転職がおすすめです。

体力面で無理せず働き続けたい

体力面や健康面に不安があって無理せず働きたい場合、以下のような事業所がおすすめです。

  • デイサービス
  • グループホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅

上記のサービスは、比較的介護度が低い利用者様が多く、身体介護の負担が軽い可能性があります。ただし、事業所によって受け入れている利用者様の介護度は異なります。また、入職当時は介護度が低い利用者様が多かったとしても、長年勤めるにつれて状況が変化する可能性があることを理解しておきましょう。

また、訪問介護事業所で「生活援助」のサービスのみに入る方法もあります。しかし「身体介護」サービスと比べると時給は低い傾向があるため、収入面を考慮して検討しましょう。

介護業界には、身体介護に対応しない「介護助手」という働き方もあります。介護職員の補佐的な職種で、食事の配膳・下膳やベッドメイキングなどの業務がメインです。以下記事で詳しく解説しているため、介護助手に興味のある方はぜひご覧ください。

介護助手とは?転職するメリット・デメリットやきついと感じる要因を解説

夜勤なしで日勤のみで働きたい

夜勤のあるシフトは避けたい場合、以下の事業所がおすすめです。

  • デイサービス
  • 訪問介護

しかし、上記以外の職場でも、日中のみ勤務できる職員を募集しているケースがあります。気になる職場があれば、日勤専属で働けるかどうか確認するのも一つの方法です。

介護職への転職についてよくある3つの質問

Q&A

介護職への転職でよくある質問は、以下の3つです。

  • 質問1.70歳以上が働く割合が高いのはどの職種ですか?
  • 質問2.夜勤は身体に悪いですか?
  • 質問3.介護職への転職を成功させるコツはありますか?

質問1.70歳以上が働く割合が高いのはどの職種ですか?

介護業界において、70歳以上が働く割合がもっとも多いのは、利用者宅に訪れてサービスを提供する「訪問介護員」です。次いで、介護施設で働く「介護職員」介護が必要な方が必要なサービスを受けられるようにケアプランを作成する「ケアマネジャー(介護支援専門員)」の順です。

参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」 

質問2.夜勤は身体に悪いですか?

夜勤は発がんリスクが上がるだけでなく、うつ病や心臓病、高血圧などを引き起こす可能性があります。しかし、以下の特徴がある方は、シニア世代でも夜勤に適性がある可能性があります。

  • 生活スタイルが夜型の方
  • 稼ぐことを重視している方
  • 体力に自信のある方

夜勤をする際は、夜勤中にしっかり仮眠したり勤務後に十分な休息を取ったりして、体調を維持できるように工夫しましょう。

質問3.介護職への転職を成功させるコツはありますか?

介護職への転職を成功させるには、以下のコツを押さえておきましょう。

  • サービス形態ごとの特徴を理解しておく
  • 自己分析をおこなう
  • 転職する目的を明確にする
  • 応募先の調査を徹底する
  • 複数の職場を比較する

以下の記事では、上記のコツについて詳しく解説しています。介護転職で後悔する原因も紹介しているため、介護職への転職を検討中の方はぜひあわせてご覧ください。

介護転職で後悔する原因は?成功させる5つのコツ・希望別の転職先の選び方も解説

まとめ

介護職に転職できる年齢は制限がなく、なかには定年や定年後の雇用上限年齢がない職場もあります。ただし、夜勤があったり力仕事が多かったりする職場の場合は、身体に負担がかかる可能性があります。

本記事で紹介したシニア世代の転職先の選び方も参考に、健康面・収入面などで働き続けられる職場へ転職しましょう。

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この記事を書いた人

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