看護師が介護施設に転職するメリット・デメリットは?給料や仕事内容も紹介

看護師が介護施設に転職するメリット・デメリットは?給料や仕事内容も紹介

「病院から介護施設へ転職すると、仕事内容や給料はどう変わるのか気になる」

「介護施設・サービスごと違いがわからず、どの職場を選ぶべきか悩んでいる」

介護施設への転職を検討している方のなかには、上記のような悩みがある方も多いのではないでしょうか。

利用者様と長く関わるやりがいや夜勤の少なさなど、介護施設には多くの魅力があります。一方で、緊急時の判断を求められる場面や給料面の不安を感じる方もいるでしょう。

本記事では、看護師が介護施設に転職するメリット・デメリット、給料や仕事内容を詳しく解説します。介護施設への転職を検討中の方はぜひご覧ください。

介護施設で働く看護師の仕事内容

介護施設で働く看護師の仕事は、高齢者の健康管理が中心です。具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • バイタルチェック
  • 配薬準備・服薬管理
  • 医師の指示に基づいた医療行為(喀痰吸引・胃ろう・点滴など)
  • 看護記録
  • 医師による診察の補助
  • 看取り・ターミナルケアへの対応
  • オンコール対応

なお、医師の常駐が義務付けられている介護施設は少なく、常駐している場合でも日中のみというケースが大半です。そのため、看護師が医療的な判断を任せられる場面もあります。

病院との違い

多くの看護師が働いている病院と介護施設の大きな違いは、仕事内容と働き方です。病院では、点滴や採血、処置などの医療行為が中心で、患者様も頻繁に入れ替わります。また、2交代制または3交代制が一般的で24時間体制の勤務体制が多い傾向があります。

一方介護施設では、利用者様の健康管理や予防的なケアが中心で、比較的長期的に関われるのが特徴です。勤務形態は日勤のみの施設が多く、病院と比べると規則的に働けます。

看護師が介護施設に転職するメリット

看護師が介護施設に転職するメリットは、以下の3つです。

  • 身体的な負担が少ない
  • ワークライフバランスをとりやすい
  • 1人ひとりに向き合った看護を実践できる

介護施設では、排泄介助・入浴介助などの身体介護は介護士がメインで対応します。看護師が身体介護に関わる場面でも、介護士と2人で対応するなど1人での介助が求められる場面は病院と比べて少ないため、体力的に不安がある場合でも安心して働けます。

また、介護施設の種類によっては夜勤やオンコール対応などがない職場もあります。病院のように、緊急入院や手術件数が増えることによる残業もないため、ワークライフバランスをとりやすいのもメリットです。

さらに、利用者様が長期間利用する施設が多く、1人ひとりに長く関われます。患者様が短期間で入れ替わる病院と異なり、利用者様の生活を長きにわたって支えられる点も魅力です。

看護師が介護施設に転職するデメリット

看護師が介護施設に転職するデメリットは、以下の3つです。

  • 他職種スタッフとの関係が難しい
  • 看護師としてのスキルを磨く機会が少ない
  • 医師が常駐しておらず責任が重い

病院と同様に、介護施設では多くの多職種スタッフが働いており、なかでも介護士が占める割合が多いのが特徴です。看護師が介護士に対して指示する場面も多くありますが、看護師と介護士の視点の違いもあり、看護師に対して不満のある介護士も存在します。このような介護士との連携に、難しさを感じる可能性がある点が介護施設で働くデメリットです。他職種スタッフとの関係に悩まされたら、専門領域が違うことを意識し、互いを尊重したコミュニケーションを心掛けましょう。

また、介護施設は生活の場のため、病院と比べると高度な医療行為を行う機会は限られています。そのため、医療に関するスキルを磨きたい方にとっては物足りなく感じる可能性があります。ただし、介護老人保健施設(老健)や医療体制が充実している有料老人ホームなどのなかには、医療処置のニーズが高い施設もあります。介護施設で働きたいが医療行為のスキルも磨きたい場合は、医療依存度の高い方が利用している施設に転職するのも一つの選択肢です。

さらに、介護施設は医師が常駐していない施設がほとんどです。施設を利用している高齢者は体調が急変するケースも難しくないため、医師がいない場面で利用者様の命にかかわる判断を求められることもあります。そのため、重いプレッシャーを感じて大きなストレスを抱える可能性がある点もデメリットです。介護施設のなかには、配置医師が対応できない場合は協力医療機関に電話対応・駆けつけ対応などを依頼している施設もあります。緊急時の対応にプレッシャーを感じる場合は、転職時には医師のバックアップ体制が充実している施設を選ぶとよいでしょう。

介護施設で働く看護師の1日スケジュール

特別養護老人ホームで働く看護師の1日を例に、スケジュールを紹介します。

8:30前日からの申し送り内容や当日の業務予定を確認
9:00当日の昼から翌朝までの薬をセット
10:00入居者様のバイタル測定、全身状態の観察、処置が必要な方への対応
11:00昼食の内服薬を各ユニットへ配薬
12:00嚥下機能が低下した方や健康状態が気になる方などにアセスメントを兼ねて食事介助を実施
13:00休憩
14:00各フロアを巡回しながら必要な処置、部分浴、トイレ誘導などに対応
17:00翌日への申し送り事項を記録、退社前に各ユニットを巡回して移乗がないか確認
17:30医務室を片付けたのちに退社

なお、オンコール対応がある場合は看護師の数に応じて担当回数が変動します。対応する看護師が3人であれば、月10回程度となります。

看護師が働く介護施設・サービスの種類

介護士が働く介護施設・サービスの種類は、以下のとおりです。

介護施設・サービスの種類特徴
特別養護老人ホーム・要介護3以上の方が長期間生活する施設
・看取りや急変時の対応も看護師の役割
・夜間はオンコール体制を採用している傾向がある
介護老人保健施設・要介護1以上の方が在宅復帰を目指して生活する施設
・入居期間は原則3か月
・夜勤があるのが一般的
有料老人ホーム・看護師の職場はおもに介護型
・高価格帯の施設では高い接遇スキルが求められる
・医療体制を手厚くしている施設では夜勤あり
デイサービス・在宅で暮らす高齢者が日中に利用する介護サービス
・医療ニーズのある利用者様が少ない
・基本的には夜勤なし

各施設・サービスの特徴を解説します。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)は、介護が必要な方が長期間生活する介護施設です。要介護3以上の方が入居対象で、ほかの介護施設と比べると介護が必要な方の割合が高いのが特徴です。

看護師の役割は入居者の健康管理だけでなく、看取りや急変時の医療対応も含まれます。看護師の24時間配置は義務付けられておらず、緊急時の対応としてオンコール体制を採用している施設が多いです。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目標とし、医療ケアやリハビリテーションに重点が置かれている施設です。要介護1以上の方が入居対象で、医療と在宅の中間施設として位置づけられており、入居期間の平均は約10か月(299日)です。医師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリスタッフ、介護士などが配置されており、多職種連携が求められます。そのため、看護師には調整業務も求められるのが特徴です。

なお、介護老人保健施設は夜勤があるのが一般的です。2024年に日本資料労働組合連合会が実施した調査によると、72.7%の施設で夜間も看護師が配置されています。

参照:日本資料労働組合連合会「2024年 介護施設夜勤実態調査結果

有料老人ホーム

有料老人ホームはおもに民間企業が運営しており、入居者が介護・食事などのサービスを受けながら生活する施設です。健康型・住宅型・介護型の3種類あり、看護師の職場となるのはおもに介護型有料老人ホームです。介護型は、要支援・要介護認定された高齢者が入居対象となります。

有料老人ホームは民間企業が運営しているため、入居金や利用料は特養・老健などの公的施設と比べて高い傾向があります。高価格帯の施設では、高い接遇スキルも求められるのが特徴です。また、夜間はオンコール体制の施設と24時間常駐の施設があり、手厚い医療体制をアピールポイントにしている施設では、日勤と夜勤の2交代制となるため夜勤もあります。

デイサービス

デイサービスは在宅で暮らす高齢者を対象に、食事・入浴などの日常生活上のサポートや、レクリエーション・機能訓練などを提供する介護サービスです。介護保険サービスの「通所介護」は要介護1以上の高齢者が対象ですが、「介護予防通所型サービス」を提供する施設は、要支援1・2の方も利用しています。

デイサービスにおける看護師の仕事は、バイタルチェックや配薬準備などの健康管理、食事・入浴などの介助が中心です。医療ニーズのある利用者様が少なく、介護サービスのなかでも医療行為は少ない傾向があります。なお、看護師が機能訓練指導員を兼務するケースもあります。

また、デイサービスは日中に利用されるサービスのため、基本的に夜勤はありません。なかには「お泊まりデイサービス」がある施設もありますが、介護スタッフ1名~2名程度で対応する場合がほとんどです。

介護施設で働く看護師の給与

介護施設の種類や正看護師・准看護師かによって給与は異なります。ここからは、介護施設・サービスにおける看護師・准看護師の給与を常勤・非常勤別に紹介します。

常勤看護師の平均月給は以下のとおりです。

介護施設・サービスの種類看護師准看護師
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)455,491円419,447円
介護老人保健施設469,573円409,282円
介護医療院460,520円398,954円
通所介護(デイサービス)375,327円351,740円
通所リハビリテーション417,917円365,273円
特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)438,206円406,494円
小規模多機能型居宅介護390,028円358,095円
参照:厚生労働省老健局老人保健課「令和5年度介護事業経営実態調査結果

続いて、パートなどの非常勤看護師の平均月給は以下のとおりです。

介護施設・サービスの種類看護師准看護師
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)374,513円361,061円
介護老人保健施設361,973円337,238円
介護医療院385,451円342,184円
通所介護(デイサービス)339,893円312,817円
通所リハビリテーション362,207円311,924円
特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)414,447円347,466円
小規模多機能型居宅介護321,922円301,067円
参照:厚生労働省老健局老人保健課「令和5年度介護事業経営実態調査結果

夜勤やオンコール対応のある特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院などは比較的給与が高い一方で、夜勤のないデイサービスや小規模多機能型居宅介護などは給与が低い傾向があります。また、有料老人ホームをはじめとする特定施設入居者生活介護は、常勤と非常勤の給与額の差が少ないのも特徴です。

ただし、職場によって実際の給与や勤務体系は異なります。労働条件を確認したうえで転職先を選びましょう。

介護施設への転職が向いている看護師の特徴

介護施設への転職がおすすめな看護師の特徴は、以下のとおりです。

  • 1人ひとりの入居者様に向き合いたい方
  • ターミナルケアや看取りに興味がある方
  • 夜勤なしで働きたい方
  • ワークライフバランスを重視したい方

介護施設では、利用者様との長期的な関わりを通じて、生活面も含めたケアを提供します。ターミナルケアや看取りの場面も多いため、最期まで寄り添う看護に興味がある方は大きなやりがいを感じられるでしょう。また、夜勤がない施設が多いうえ、急な残業が発生しにくいのも魅力です。そのため、体力的な負担を軽減して働きたい方やプライベートとの両立を大切にしたい方などは、介護施設での仕事が向いているでしょう。

看護師が介護施設へ転職する際の志望動機の書き方

看護師が介護施設へ転職する際の志望動機では、採用担当者がチェックするポイントを押さえた内容にすると効果的です。具体的には以下のようなポイントを含めましょう。

  • これまで経験してきた仕事
  • 数ある介護施設のなかから応募先の施設を選んだ理由
  • 応募先が求める人物像・スキルとのマッチ度
  • 今後の目標やキャリアビジョン

これまでの業務内容や実績を盛り込むことで、即戦力としての強みや具体的なスキルをアピールできます。また、数ある介護施設のなかでなぜその施設を選んだかを明確に伝えることで、施設の理念や方針に共感している姿勢を示せるでしょう。

さらに、応募先が求める人物像・スキルと自分の特長が重なる点を具体的に示すと、組織のニーズに応えられる人材であると印象づけられます。加えて、今後の目標やキャリアビジョンをしっかり伝えることで、長期的な成長や貢献に期待できる看護師として評価されやすくなります。

特別養護老人ホームを志望する場合の例文

ここでは、特別養護老人ホームの志望動機の例文を紹介します。

前職では急性期病棟で高齢患者様の看護に携わり、終末期ケアの重要性を強く感じてきました。しかし、病院勤務では退院をゴールとした短期的なケアが中心で、退院後の生活を見守れない点にもどかしさを感じていました。
そこで、看取りにも対応し、長期的に入居者様を支える特別養護老人ホームを志望いたしました。御施設は「1人ひとりの尊厳を重視したケア」を掲げており、これまで培ってきた看護スキルやコミュニケーション能力が活かせると同時に、利用者様により深く寄り添えると考えております。また、終末期だけでなく、生活の質を向上させる看護を実践できる環境にも魅力を感じました。
今後は御施設の理念や方針に沿って、高齢者介護の専門性をさらに高めるとともに、1人ひとりの人生に寄り添い、質の高いケアを提供できる看護師へと成長していきたいと考えております。

上記はあくまでも例文です。応募先に応じて、自身の強みが伝わる志望動機を考えましょう。

看護師の介護施設への転職でよくある3つの質問

看護師の介護施設への転職について、よくある質問は以下の3つです。

  • 質問1.看護師が転職で注意することはありますか?
  • 質問2.介護施設で働く看護師が辛いと感じるのはどのような場面ですか?
  • 質問3.准看護師は介護施設で働けますか?

質問1.看護師が転職で注意することはありますか?

介護施設の求人のなかには、臨床経験3年以上を応募条件としている施設もあります。経験年数が3年未満の場合は、応募条件を満たしているか確認しましょう。

質問2.介護施設で働く看護師が辛いと感じるのはどのような場面ですか?

病院では医師の判断や指導のもとで働きます。しかし、介護施設では医師の数が少なかったり、そもそも常駐していなかったりする施設もあります。また看護師の人数も少ないため、病院では医師や先輩看護師に任せられる判断を介護施設では自身が受け持つ機会もあります。そのため、特に経験の浅い看護師は、責任の重さや不安を感じる可能性があるでしょう。

加えて、夜勤がない介護施設では入居者の急変時などに介護士から電話連絡がくるオンコールを当番制で受け持ちます。当番日はプライベートでも一定の緊張感があるため、オン・オフの切り替えができず辛いと感じるケースもあるでしょう。

質問3.准看護師は介護施設で働けますか?

正看護師だけでなく、准看護師も働ける介護施設は多くあります。実際に准看護師の就業先の割合は、病院が34.3%、診療所が32.8%、介護保険施設等が24.7%と、介護施設では3番目に多くの准看護師が働いています。

ただし一部の介護施設では、医療行為や管理業務を行うために正看護師資格を必須としている求人を出しています。求人に准看護師の応募可否を明記していない場合は、応募先に直接問い合わせて准看護師でも応募できるかどうかを確認しましょう。

参照:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

まとめ

介護施設における看護師仕事は、高齢者の生活全般に寄り添うやりがいがある一方、医師が常駐していない場面で判断を求められるなど、病院勤務とは異なる責任や不安が伴う場合があります。しかし、夜勤や残業の少ない環境で働きやすい点や、利用者様と長期間かかわることで深い信頼関係を築ける点など、魅力も大きいのが特徴です。

また、給与面や夜勤・オンコールの有無などの労働条件は施設によって差があるため、事前に確認したうえで自分に合った職場を選ぶことが重要です。本記事で紹介した介護施設の仕事内容や転職するメリット・デメリットなどを参考に、看護師としてより納得のいく働き方を実現させましょう。

本サイトを運営する特別養護老人ホーム 白寿荘では、正看護師・准看護師、常勤・非常勤問わず、看護師を募集しています。常勤看護師の募集要項は以下のとおりです。

勤務時間・日勤 8:30~17:30
・遅番 9:15~18:15
仕事の内容看護業務(定員64床・ショート16床)
・利用者の健康管理・相談、服薬管理
・緊急時の対応
・通院時の付添
・医療機関との調整 等
資格要件看護師免許(准看護師可)
給与・待遇本給:207.560円~(経験を考慮)
賞与:年3.5ヶ月分(前年度実績)※但し、採用初年度は1.75ヶ月
福祉特別手当、扶養手当、住宅手当、通勤手当、社会保険、退職共済、産休・育休、療養休暇、職員相互保険等有り
※試用期間(3ヶ月)有り※給与は経験年数によって異なります。
勤務先〒245-0016横浜市泉区和泉町6181-2
最寄駅:相鉄いずみ野線 いずみ野駅(徒歩8分)
※2025年3月時点の情報です

以下のページでは、さらに詳しい内容や非常勤看護師の募集要項を掲載しています。転職を検討中の方はぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

かいごマガジン編集部です。
介護の専門的な情報をどこよりもわかりやすく紹介していきます。
また、世の中の介護がどのように変化していっているのか最新の情報も随時発信していきますのでお楽しみに!
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