介護福祉士の仕事内容を職場ごとに徹底解説!介護士との違い・1日のスケジュールまで紹介

介護福祉士の仕事内容を職場ごとに徹底解説!介護士との違い・1日のスケジュールまで紹介

「介護福祉士の仕事内容を知って、資格を取得すべきか判断したい」

「介護福祉士と介護士の違いがわからない」

介護福祉士の資格取得を検討している方のなかには、上記のような疑問がある方もいるのではないでしょうか。

本記事では「介護福祉士の仕事内容」と「介護福祉士の1日のスケジュール」を中心に解説します。特別養護老人ホームやデイサービス、病院など、職場ごとの仕事内容が理解できる内容のため、ぜひ最後までご覧ください。

介護福祉士のおもな仕事内容

介護福祉士の仕事内容は、大きく分けて以下の6つに分類されます。

  • 身体介護
  • 生活援助
  • 利用者からの相談への対応
  • 家族への助言
  • チームマネジメント
  • 利用者の社会活動の支援

身体介護

身体介護とは、介護を必要とする方の身体に直接触れて行う介助サービスです。利用者の心身の状況に応じて支援し、日常生活の動作能力(ADL)や意欲向上のための支援も行います。

身体介護には、以下のような介助が含まれます。

  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 清拭
  • 排泄介助
  • 更衣介助
  • 体位変換
  • 移動介助
  • 外出介助
  • 服薬介助

上記の介助を通して、介護を必要とする方の尊厳を守り、自立した生活を送れるようサポートすることが身体介護の目的です。なお身体介助には、自立生活を支援するための声かけや見守りも含まれます。

生活援助

生活援助とは、介護を必要とする本人の日常生活に必要な家事を支援する介護サービスです。専門的な視点から、その人の状況に合わせて援助します。身体介護とは異なり、身体に直接触れない仕事内容が中心となります。

生活援助の具体例は以下のとおりです。

  • 食事の準備、配膳、下膳
  • 洗濯
  • 掃除
  • 衣服の整理
  • 買い物
  • 薬の受け取りなど

ただし、本人以外の家族のための家事や、ペットの世話、大掃除などは生活援助には含まれません。あくまでも介護を必要とする本人に対して、日常生活の範囲内の家事がサービス対象となります。

利用者からの相談への対応

介護福祉士は、介護サービスや介護保険に関する利用者からの相談にも対応します。利用者が抱える悩みや不安を傾聴し、適切なアドバイスを提供します。また、必要に応じてほかの専門職や関係機関と連携をし、利用者が抱える問題の解決に向けて尽力します。

介護福祉士は、利用者の心身の状況を把握し、その人らしい生活を送れるよう、きめ細やかな支援を行います。相談内容は多岐にわたるものの、専門的な知識と経験を活かし、利用者に寄り添って対応します。

家族への助言

要介護者の家族に対して必要な助言を提供し、介護負担の軽減を図るのも介護福祉士の役割です。利用者の家族は、介護に関する知識や経験が不足していることが多いため、介護保険制度やサービス利用の手続きについてわかりやすく説明します。

また、正しい介助方法や福祉用具の使用方法を指導し、家族が安心して介護に取り組めるようサポートします。加えて、家族の心身の状況にも配慮し、レスパイトケアなどの支援策を提案することもあります。

チームマネジメント

介護福祉士は、介護現場でのチームリーダーとして、介護スタッフのマネジメントを行う場面もあります。具体的には、勤務シフトの作成・調整、チームメンバーの業務指導、教育・育成、業務内容の見直しなどが挙げられます。

また、他職種との連携も重要な役割です。ケアマネジャーや看護師、理学療法士、医師などからの連絡事項をチームメンバーに的確に伝達し、利用者に適切なサービスを提供します。チームマネジメントを通して、介護サービスの質の向上を目指します。

利用者の社会活動の支援

介護福祉士は、要介護者の社会活動支援も行います。具体的には、就労支援や地域活動への参加支援、社会参加の機会提供などが挙げられます。

介護が必要になったことで社会とのつながりが希薄になりがちになるため、社会とのつながりを維持し、要介護者の生きがいや尊厳を守ります。介護福祉士は、要介護者1人ひとりに合わせた社会活動支援を行い、充実した生活を送れるようサポートします。

また、介護福祉士は家族や地域住民との関係構築の支援も行います。要介護者を取り巻く人間関係は、介護の質や要介護者の心身の安定などに影響します。介護福祉士は、要介護者と周囲の人々とのコミュニケーションを円滑にし、互いが協力し合える関係性を築けるよう、調整役を担います。

社会活動支援を通して、要介護者がその人らしく、自分らしい生活を送れるようサポートすることが、介護福祉士の重要な役割です。

介護福祉士と他職種の違い

介護福祉士と混同されがちな職種に「介護士」と「ケアマネジャー」があります。それぞれの職種との違いを解説します。

介護士との違い

介護福祉士と介護士の最も大きな違いは、資格の有無です。介護士は資格の有無に関わらず、介護業務に従事する方全般を指すのに対し、介護福祉士は国家試験に合格し、登録した方のみが名乗ることができる国家資格です。

仕事内容としては、両者ともに介護施設や訪問介護の現場などで、利用者の心身の状況に合わせた介護サービスを提供します。しかし、介護福祉士は専門的な知識やスキルを持ち、介護サービスを行うだけでなく、ほかの介護職員に対して指導することも求められます。また、介護士をまとめるチームリーダーや管理職を任されることもあるでしょう。

給与面でも、介護士と介護福祉士には大きな差があります。厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、無資格の介護職員の平均給与額は268,680円であるのに対し、介護福祉士は331,080円と、60,000円以上の差があることがわかります。介護福祉士は専門性が高く、責任も大きい分、介護士と比べて優遇されている傾向です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)との違い

介護福祉士とケアマネージャーは、仕事内容に大きな違いがあります。介護福祉士は、要介護者を直接サポートするのに対し、ケアマネージャーはケアプランの作成がおもな仕事です。ほかにも要介護者の家族からの相談対応や、関係各所との調整、介護指導なども行います。

また、介護福祉士は国家資格であり、試験を受けるには3年以上の実務経験が必要です。一方ケアマネージャーは、都道府県認定の資格です。ただし、介護福祉取得後5年以上の実務経験が受験条件のため、介護福祉士と比べると資格取得のハードルが高いのが特徴です。

さらに、厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、ケアマネジャーの給与は362,700円となっています。職場によっては、介護現場との兼務や夜勤手当による加算が影響していることが理由です。

参考:厚生労働省老健局老人保健課「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果

介護福祉士が働く職場ごとの仕事内容

介護福祉士の働き先は多岐にわたります。ここでは、以下の職場ごとの仕事内容を紹介します。

  • 特養(特別養護老人ホーム)
  • 老健(介護老人保健施設)
  • デイサービス
  • ケアハウス
  • 訪問介護事業所
  • 病院

特養(特別養護老人ホーム)

特養(特別養護老人ホーム)は、要介護度3以上に認定されている高齢者がおもに入居する施設です。日常の多くの場面で介助を必要とする方が多く、移乗介助や排泄介助などの身体介助をする機会が多いのが特徴です。

特養で働く介護士の仕事内容は、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

参考記事:特養(特別養護老人ホーム)の介護士の仕事内容は?1日のスケジュール・きついと感じる理由も紹介

老健(介護老人保健施設)

老健(介護老人保健施設)は、要介護度1~5の在宅復帰を目指す高齢者が入居する施設です。理学療法士や作業療法士などが在籍しており、リハビリが充実しています。また、医師も配置されているため、特養と比べると対応できる医療的ケアも幅広いのが特徴です。

介護福祉士は、入居者の日常生活のサポートを行うほか、リハビリ専門職や看護師などと連携して支援します。入居期間が3か月と短く、入居者が定期的に入れ替わるため、細やかに情報共有を行います。

一方、在宅復帰を目的としている方が入居するため、特養と比べると身体介助を行う機会は少ない傾向があります。また、医療職やリハビリ職も多く在籍しているため、医療・リハビリに関する知識を得やすい点も特徴です。

デイサービス

デイサービスは、在宅で生活する高齢者が通う施設です。食事や入浴などの日常生活に必要な支援や、機能訓練やレクリエーションなどを実施します。在宅で生活している方が対象のため、要介護度が比較的低い方が利用しています。そのため、ほかの介護サービスと比べると、レクリエーションや季節ごとの行事に関する業務が多いのが特徴です。

また入所系のサービスと異なり、送迎業務もあります。専任のドライバーがいない場合は、介護福祉士が車を運転し、利用者を送迎するケースもあるでしょう。利用者の家族とも連携し、電話や連絡帳などでやり取りすることもあります。

ケアハウス

ケアハウスは、自立した日常生活を営むことに不安があると認められた60歳以上の方が生活する「一般型」と、要支援・要介護認定されている65歳以上の方が対象の「特定型」の2種類あります。

一般型の場合、食事の用意や入浴準備、レクリエーション・行事などの業務が中心となります。入居者との契約内容に介護サービスは含まれていないため、介助が必要な方は外部あるいは併設の訪問介護事業所と契約し、介護サービスを受けます。

一方、特定型の場合は、要支援・要介護に認定されている方に対して介護サービスを提供するため、食事の準備や掃除などの生活支援に加え、身体介助も行います。夜間は就寝介助や巡視、体位変換、排泄介助などの業務が中心です。

以下の記事では、ケアハウス(軽費老人ホーム)を含めた、高齢者施設ごとの特徴を紹介しています。複数の施設の特徴が比較できる内容のため、ぜひご覧ください。

参考記事:高齢者施設にはどんな種類があるの?特徴から選び方まで解説します!

訪問介護事業所

訪問介護事業所は、在宅で暮らす利用者宅を訪問して介護サービスを提供する事業所です。提供するサービスは、身体介護や生活援助、通院介助など、利用者の状態に応じて必要な支援を行います。

訪問介護事業所で働く介護福祉士は、利用者宅に訪問してサービスを提供する「ホームヘルパー」や、ヘルパーが提供するサービスを管理する「サービス提供責任者」、事業所を管理する「管理者」として働くケースがあります。

なかでもサービス提供責任者は、訪問介護事業所において重要な役割を果たします。訪問介護計画書の作成や、利用者・その家族との面談、ヘルパーの指導、ケアマネジャーをはじめとする関係各所との連携など、さまざまな業務を行うのが特徴です。また、サービス提供責任者とヘルパーを兼任するケースもあります。

病院

病院で働く介護福祉士は「看護助手」という肩書で、患者の生活介助や看護師の補助業務を行います。おもな仕事は、患者の入浴・食事・排泄・着替えの介助、おむつ交換、移動の付き添いなどの直接的な介護業務です。

また、看護師の指示に従い、医療機器の準備・片付け・洗浄、簡単な事務作業、医療器具の点検・清掃、検査室への付き添いなども担当します。さらに、病室・診察室の清掃、ベッドシーツの交換など、患者の身辺環境の整備も行います。

介護福祉士は医療行為を行えないため、患者とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築きながら、ケアを中心とした業務を行うことが求められます。また、病棟勤務の場合は夜勤のあるシフト制なものの、外来の場合は日勤のみです。

介護福祉士の1日のスケジュール

ここからは、介護福祉士の1日の仕事の流れを以下の職場別に紹介します。

  • 特養(特別養護老人ホーム)の場合
  • 訪問介護事業所の場合
  • 病院の場合

特養(特別養護老人ホーム)の場合

特養の日勤の場合のスケジュール例は、以下のとおりです。

時間仕事内容
8:30出勤・夜勤担当者から日勤への申し送り
9:00排泄介助
10:00入居者の水分補給対応
12:00昼食の配膳・食事介助・下膳口腔ケア
13:00休憩
14:00入浴介助
16:30記録業務・書類作成
17:30日勤から夜勤担当者への申し送り・退勤

特養はシフト制で夜勤と日勤の担当者が入れ替わるため、利用者の状況を申し送りを通じて伝えます。ケアマネジャーや看護師、生活相談員なども交えて、申し送りを行っている施設もあります。

訪問介護事業所の場合

訪問介護事業所において、ホームヘルパーとして働く介護福祉士のスケジュール例は、以下のとおりです。

時間仕事内容
9:00出勤・利用者の情報確認
9:301件目訪問:買い物代行
11:002件目訪問:昼食の配膳・食事介助・下膳・服薬介助
12:303件目訪問:入浴介助
14:00休憩
15:004件目訪問:掃除・洗濯
16:005件目訪問:おむつ交換・更衣介助
17:00記録業務・サービス提供責任者への報告・書類作成
18:00退勤

訪問介護事業所は利用者の自宅に訪問するため、車や自転車、徒歩などで移動するのが特徴です。訪問先によって提供するサービス内容が異なるため、利用者の情報だけでなくサービス内容の把握も欠かせません。

病院の場合

病院の病棟で働く介護福祉士のスケジュール例は、以下のとおりです。

時間仕事内容
8:30出勤・夜勤担当者から日勤への申し送り
9:00清掃やシーツ交換などの環境整備
10:00入浴できない患者の清拭対応
12:00昼食の配膳・食事介助・下膳口腔ケア
13:00休憩
14:00医療器具の洗浄・物品補充
15:00検査室・診療室への移動介助
16:00排泄介助
17:30日勤から夜勤担当者への申し送り・退勤

病院の場合は、配属される診療科目によって、業務内容やスケジュールが異なります。

介護福祉士の仕事内容でよくある質問3つ

介護福祉士の仕事内容に関して、よくある質問は以下の3つです。

  • 質問1.介護福祉士は公務員として働けますか?
  • 質問2.介護福祉士がしてはいけないことなんですか?
  • 質問3.介護福祉士の資格でできる仕事には、どのような選択肢がありますか?

質問1.介護福祉士は公務員として働けますか?

介護福祉士は「地方公務員」あるいは「国家公務員」として働くことができます。

地方公務員の場合は「地方公務員上級福祉職」や各自治体の「福祉職」採用枠があります。おもな職場は、公立の福祉施設や障がい者施設、行政機関の福祉保健局などです。

国家公務員の場合は、厚生労働省・法務省などで働きます。おもな仕事内容は、求職者への職業紹介や障がいのある方の雇用促進、職業訓練の政策立案、ハローワークなどでの業務指導などがあります。

公務員として働くには、地方公務員試験や国家公務員試験に合格する必要があります。

質問2.介護福祉士がしてはいけないことなんですか?

介護福祉士がしてはいけないことは、医療行為です。医療行為とは、医師の医学的判断や技術を持って行う行為を指します。医学的な技術や知識がないと、人体に危険な影響を及ぼす可能性があるため、医療行為は医師法によって規定されています。医師、歯科医師、看護師など、国家資格を有する医療従事者のみが行える行為です。

介護福祉士が認められている医療的ケアは、喀痰吸引と経管栄養の2つのみです。これらの医療的ケアを行うには、資格取得年度によって「喀痰吸引等研修(基本研修・実地研修)」の受講が必要となります。

介護福祉士が医療行為を行ってしまうと、法律違反となる可能性があるため、提供できる医療的ケアについて十分に理解しておく必要があります。

質問3.介護福祉士の資格でできる仕事には、どのような選択肢がありますか?

介護福祉士の資格でできる仕事は、訪問介護事業所の「サービス提供責任者」や、特養・デイサービスなどで働く「生活相談員」などの選択肢があります。

ただし生活相談員は、自治体によって資格要件が異なります。たとえば横浜市のデイサービスの場合、以下のいずれかに該当すれば生活相談員として働くことが可能です。

  1. 社会福祉主事(社会福祉法第19 条第1項各号のいずれかに該当する者)
  2. 介護福祉士
  3. 介護支援専門員
  4. 介護保険施設又は通所系サービス事業所等において、常勤で2年以上(勤務日数 360 日以上)介護等の業務に従事した者(直接処遇職員に限る)
引用:横浜市「令和5年度 運営の手引き 通所介護 横浜市通所介護相当サービス

また、介護福祉士の資格があれば、ケアマネジャー(介護支援専門員)や、認定介護福祉士などの資格取得を目指すことも可能です。介護士と比べると、職場や取得できる資格の選択肢は豊富なため、自身のキャリアプランに応じて選択しましょう。

まとめ

介護福祉士の働き先の選択肢は幅広く、職場によって仕事内容もさまざまです。また介護士と比べると、スタッフのマネジメントに関われる機会もあり、条件を満たせば喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを行うことも可能となります。

本記事で紹介した職場ごとの仕事内容を参考に、介護福祉士へのキャリアアップを検討してみてはいかがでしょうか。

特別養護老人ホーム白寿荘を運営する社会福祉法人「神奈川県 匡済会」は、1918年に神奈川県救済協会として発足し、100年以上横浜の人々に寄り添ってまいりました。

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この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

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