養護老人ホームと特別養護老人ホームの違いとは？それぞれのメリット・デメリットも紹介

養護老人ホームと特別養護老人ホームはどちらも入居条件や施設運営の目的が異なるため、それぞれを理解すると施設選びに役に立ちます。そこで当記事では、養護老人ホームと特別養護老人ホームの違いやメリット・デメリット、自身に合う施設の選び方を紹介します。

養護老人ホームと特別養護老人ホームの違い

養護老人ホームと特別養護老人ホームは、名前は似ていますが入居条件や入居対象者など、さまざまな点で違いがあります。養護老人ホームと特別養護老人ホームの違いについて、表にまとめたのでご覧ください。

	養護老人ホーム	特別養護老人ホーム
目的	年金などの収入がなく経済的に困窮している高齢者や、虐待を受けており、生活環境で困窮している高齢者の社会復帰を目指す	中〜重度の要介護認定を受けた高齢者が、介護や支援を受けて居住する
入居条件	自立している65歳以上の高齢者	要介護3以上に認定された65歳以上の高齢者
入居基準	・年金などの収入がない ・独居の高齢者・同居している家族から虐待を受けているなど	・65歳以上で要介護3以上の高齢者 ・40歳～64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方 ・特例で入居が認められた要介護1～2の方
提供サービス	・食事の提供や健康管理 ・経済面の相談や機能訓練	身体介護や健康管理、機能訓練
費用	0〜14万円	8〜14万円

以上が、養護老人ホームと特別養護老人ホームの違いです。ここからは、違いごとの内容について詳しく紹介します。

1.目的の違い

養護老人ホームと特別養護老人ホームは、施設運営の目的が大きく異なります。

養護老人ホームは、経済的や生活環境で困窮している高齢者を養護して、社会復帰できるように支援する施設です。特別養護老人ホームは、自宅での生活が困難である介護度の高い高齢者に介護や支援を提供します。

養護老人ホームへ入居した場合、支援を受けて社会復帰できる可能性もあるでしょう。しかし特別養護老人ホームでは、要介護度の高い高齢者が一度入居すると亡くなるまで生活することもあります。

2.入居条件の違い

どちらの施設も入居条件に違いがあります。どちらも65歳以上の高齢者である点は同じですが、養護老人ホームは「自立している」、特別養護老人ホームは「要介護3以上」が入居条件です。

養護老人ホームを希望していても、要介護3以上の認定を受けていると入居はできません。施設を選ぶ際は、入居条件に適した場所を選ぶ必要があります。

3.入居対象者の違い

経済的な理由や生活環境の影響で、在宅で暮らせない方を対象にした施設が養護老人ホームです。

養護老人ホームに入るには、ほぼ自立している必要があります。食事や排泄など、生活動作の自立を求められるため、要介護認定を受けている方は基本的に入所できません。

特別養護老人ホームは、要介護3以上に認定された65歳以上の高齢者を対象にした施設です。病気や障害により介護が必要な方に加えて、軽度の認知症と診断を受けている方も入所するケースもあるでしょう。

4.入居基準の違い

年金など収入がない方など経済的な理由や生活環境の影響で困窮していることが、養護老人ホームの入居基準になります。

• 一人暮らしの高齢者
• ホームレスで自宅がない
• 年金などの収入がない
• 同居している家族から虐待を受けているなど

以上に該当する高齢者は、養護老人ホームに入居できる可能性があります。

養護老人ホームの入所基準は地域ごとで異なる場合もあるため、入所希望の方は居住地の市町村に確認してみましょう。特別養護老人ホームの入居基準は以下の通りです。

• 65歳以上で要介護3以上の高齢者
• 40歳～64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
• 特例で入居が認められた要介護1～2の方

基本的に、65歳以上で要介護3以上の高齢者である点が入居の基準です。しかし特定疾病や特例により、65歳以下や要介護が軽い方も入居できる場合もあります。

5.提供サービスの違い

養護老人ホームは社会復帰を目指した支援と養護、特別養護老人ホームは介護サービスを提供します。

養護老人ホームでは、特別養護老人ホームで提供する食事介助や排泄介助をはじめとした介護は基本的に行いません。社会復帰を目指した支援がメインになるため、機能訓練に加えて行事やレクが行われる場合もあります。

特別養護老人ホームでは、入浴や排泄、食事など生活全般の身体介護サービスを提供する施設です。身体介護以外にも、筋力維持のための機能訓練や生活を楽しめるようなレクリエーションも提供されます。

6.費用の違い

養護老人ホームの費用は月0〜14万円、特別養護老人ホームの費用は月8〜14万円となる場合が多いです。

養護老人ホームは、経済的に困窮している高齢者が入居する施設であるため、費用が高額になることはありません。費用は前年度の収入によって変動しますが、14万円以下の場合が多いです。

また、生活保護受給者やホームレスの方であれば費用0円での入居もありえます。特別養護老人ホームの費用は、居室やサービスによって変動しますが多くは月8〜14万円で入居可能です。

居室はユニット型個室と相部屋があり、ユニット型個室の方が費用が高くなります。居室に加えて食費や医療費もかかり、合計すると月8〜14万円になりやすいです。

養護老人ホームと特別養護老人ホームのメリット・デメリット

養護老人ホームと特別養護老人ホームにはそれぞれメリット・デメリットが存在します。ここでは具体的な内容について解説します。

養護老人ホームのメリット

養護老人ホームのメリットは、低額で利用できる点です。

養護老人ホームは、経済的に困窮している高齢者の入居が多く入居しています。毎月の費用は0〜14万円と人によって幅があり、前年度の収入に応じて適正な額の支払いが必要です。毎月低額で生活できる点に加えて、入居一時金もかかりません。

また、養護老人ホームには常に職員が見守りしており、体調を崩したときや相談したいときも落ち着いて生活できます。低額ながら24時間職員が常駐している環境で、安心して生活できるのが養護老人ホームのメリットです。

養護老人ホームのデメリット

養護老人ホームは、市区町村の審査が必要で必ず入居できるわけではありません。

どれだけ入居を希望しても、市区町村の審査に通る必要があります。また、養護老人ホームは社会復帰を目指した施設であるため、長期間の入居も不可能です。

入居期間を過ぎると、別の施設へ移る必要があるため同じ施設で長期間生活をおくれません。一つの施設で長く生活したい方にとって、デメリットに感じるでしょう。

特別養護老人ホームのメリット

特別養護老人ホームは、長期間の入居を前提とした施設であるため亡くなるまで同じ環境で生活できます。

養護老人ホームは社会復帰を目指した施設であるため、基本的には短期入所が終わると別の施設へ移動する場合もあります。しかし、特別養護老人ホームは具体的な入所期間もないため長期間入居でき、最期まで同じ環境で生活できるでしょう。

特別養護老人ホームのデメリット

特別養護老人ホームは待機者も多く、希望するタイミングで入居できない可能性があります。

特別養護老人ホームは、施設を移る方が少なく入居者の入れ替わりが少ないです。なかなか空きが出ないため、待機者が増えていきます。サービスの質が高いなど評判の良い施設は埋まりやすいです。

特別養護老人ホームへの入居を希望する方は、施設に待機者の人数を問い合わせてみましょう。

自身に合う施設の選び方

自身に合う施設を選ぶには、何を重要視するか決めましょう。

サービス内容や費用、施設の雰囲気など施設を選ぶ上で焦点を当てるポイントはいくつも存在します。「少しでも費用が安い施設が良い」など、人によって選ぶポイントはさまざまです。

重要視するポイントが曖昧なまま、施設を選ぶと入居後の後悔につながります。施設の候補を決めたら、見学に行き快適に生活できそうか自分の目で確認してみてください。

まとめ

ここまで、養護老人ホームと特別養護老人ホームの違いやメリット・デメリット、自身に合う施設の選び方を紹介しました。

養護老人ホームと特別養護老人ホームは、入居条件や費用、サービス内容などさまざまな点で違いがあります。費用やサービス内容など、譲れないポイントを決めて自身にあった生活しやすい施設を探してみてください。