親が介護サービスを拒否する理由は?利用してもらうためのコツを解説

親が介護サービスを拒否する理由は?利用してもらうためのコツを解説

「親が介護サービスを拒否する理由を知りたい」

「拒否された場合、どうすればいいの?」

親を含めた親族を介護する方のなかには、このような疑問を持つ方が多いです。介護サービスを拒否する理由には「他人に迷惑をかけたくない」「生活を変えたくない」「必要性を感じない」といったものがあります。

介護サービスの利用につなげるには、本人の気持ち・考えを聞いたうえで利用してもらいたい理由を伝えることが大切です。本記事では、介護サービスを拒否する理由、利用してもらうためのコツを中心に解説します。

親が介護サービスを拒否する理由は?

親が介護サービスを拒否する理由は?

親に対して介護サービスの利用を無理強いすれば、信頼関係を失う可能性があります。今後の生活にも影響を及ぼすため、拒否する理由を知って、適切なコミュニケーションを取る必要があります。

親が介護サービスを拒否する理由として考えられるのは、次の3つです。

  • 他人に迷惑をかけたくない
  • これまでの生活を変えたくない
  • コストを含めて必要性を感じない

それぞれ解説します。

他人に迷惑をかけたくない

自立心が強い方の場合、他人に迷惑をかけたくないといった理由で介護サービスを拒否するケースがあります。病気や加齢によって介護が必要になっても「人の世話になりたくない」「迷惑をかけたくない」と考える方は多いです。

介護が必要な方の状態によっては、トイレや入浴といったデリケートな場面で介助が必要な場合もあります。しかし自尊心が強く「失敗したことを知られたくない」「できないと思われたくない」と考える方であれば、人に手伝ってもらうことに抵抗を感じます。

知らない人に介護してもらうことに引け目を感じる

介護サービスは施設の職員やヘルパーといった知らない人にサポートしてもらうため、引け目を感じる方もいます。平成22年に内閣府が実施した調査によると、自宅で介護を受けたい理由の1つとして「施設で他人の世話になるのはいやだから」といった意見がありました。

介護サービスに抵抗を感じる方のなかには、家族の介護は受け入れられても「知らない人の世話になりたくない」と考える方も多いです。

参考:内閣府|介護保険制度に関する世論調査

これまでの生活を変えたくない

介護サービスを拒否する方のなかには、これまでの生活習慣を変えたくない方もいます。

介護サービスの内容は「被介護者の日常生活のサポート」です。そのため、自分でスケジュールを決められない場合もあります。これまで通りの生活を望む方にとっては、心理的負担を感じるケースがあります。

たとえばデイサービスでは、決まった日時にスタッフが自宅まで迎えに来ます。本人の希望通りの時間でなければ、「自分のペースを乱された」と不満に感じるケースがあります。

「見捨てられた」と感じる方も

「介護は家族がするべき」と考える方であれば、家族に見捨てられたと感じるケースもあります。

在宅介護では本人と家族双方にとって、より良い生活を考える必要があります。家族だけで無理に介護を続けた場合、疲労やストレスがたまって共倒れになる可能性があります。

そのため、家族にかかる心身的な負担が大きい場合は外部サービスに任せる必要があります。

しかし介護負担の軽減を目的とした介護サービスの利用だとしても、「自分の世話を他人任せにするのか」と不満、不安を感じる方もいます。

必要性を感じない

介護サービスを拒否する方が認知症を患っている場合、生活のサポートを受ける必要性自体を感じていない可能性があります。認知症の方は身の回りの世話に対して、次のように感じている可能性があります。

  • 目の前に食事があっても食べ物だとわからない
  • 食べ物に毒が入っているといった妄想が起きている
  • 服薬の必要性がわからない
  • デイサービスの迎えが来てもどこに連れていかれるのかわからない

目的や必要性が理解できなければ、介護に対して恐怖や不安、不満を感じます。このような感情が、介護サービスの拒否につながります。

セルフ・ネグレクトに該当するケースも

セルフ・ネグレクトに該当するケースも

介護・医療サービスの拒否によって社会から孤立し、生活や心身の健康が維持できなくなっている状態を「セルフ・ネグレクト」といいます。セルフ・ネグレクトが続くと身体・生命に危険を及ぼす恐れがあります。

たとえば「極端に汚れている衣類を着続ける」「生活に必要な最低限の制度や介護サービスの利用を拒否する」といったケースが該当します。介護サービスを拒否することで適切なケアを受けない生活が続くと、セルフ・ネグレクトに該当するケースがあります。

家族によるネグレクトとの違いは?

家族による虐待の1つに「ネグレクト(介護の放棄・放任)」があります。セルフ・ネグレクトとの違いはどういった部分なのでしょうか。

国の高齢者虐待防止マニュアルによると、家族によるネグレクトは次のように定義されています。

専門的診断や治療、ケアが必要にもかかわらず、高齢者が必要とする医療・介護保険サービスなどを、周囲が納得できる理由なく制限したり使わせない、放置する。

【具体的な例】

・徘徊や病気の状態を放置する。

・虐待対応従事者が、医療機関への受診や専門的ケアが必要と説明しているにもかかわらず、無視する。

・本来は入院や治療が必要にもかかわらず、強引に病院や施設等から連れ帰る。

など

引用:厚生労働省|高齢者虐待防止の基本

平成27年に「公益社団法人 あい権利擁護支援ネット」は全国の市町村高齢福祉担当部署に対し、セルフ・ネグレクト状態にある高齢者への対応はどのように行っているかを調査しました。

その結果、「高齢者虐待対応とは別に、関係部署・機関が連携して対応している」と答えたのは46.4%、「高齢者虐待(準じるを含む)として対応している」と答えたのは30.7%でした。

このようにセルフ・ネグレクトか家族によるネグレクトかは、自治体によって判断が異なります。

「虐待になるかもしれない」と少しでも感じたら、お住まいの市区町村の窓口に相談しましょう。

参考:公益社団法人 あい権利擁護支援ネット|「セルフ・ネグレクトや消費者被害等の犯罪被害と認知症との関連に関する調査研究事業」報告書

介護サービスを利用してもらうためのコツ

介護サービスを利用してもらうためのコツ

介護サービスの利用を勧める前に、まずは本人の気持ちや考えを聞きましょう。

介護サービスを拒否する方にも、それぞれ理由があります。説得することで介護サービス利用してもらえたとしても、本人が納得していなければすぐに利用をストップせざるを得なくなるかもしれません。

本人が納得して使い続けるためにも、拒否する理由を知ったうえで、介護サービスを勧めたい理由を伝えましょう。

また介護サービスにはそれぞれ特徴があり、幅広いニーズに応えられます。介護サービスの種類ごとに、利用してもらうための対応のコツを解説します。

デイサービスの場合

デイサービスは、施設に通って利用するサービスです。外出するのが億劫な方、人が集まる場が苦手な方にとっては、利用することに抵抗を感じる場合もあります。

男性の方

男性の場合、本人の趣味や関心があることを取り入れたデイサービスを勧めましょう。デイサービスのなかには、囲碁や将棋、麻雀といった男性に人気のあるレクリエーションを提供する事業所があります。

これらの趣味を1人で楽しむのは難しく、相手が必要です。つまり顔馴染みができる可能性があります。するとデイサービスに通うモチベーションが高まります。

そのほか、機能訓練に力を入れるデイサービスであれば、トレーニングマシーンの種類、トレーニングメニューが豊富です。体を動かすのが好きな方であれば、ジムに行く感覚でデイサービスに通えます。

本人の趣味、過去に熱中していたことからデイサービスを選び、「趣味・好きなことを楽しむ場」であることを強調して誘ってみましょう。

女性の方

女性の場合、社会的な役割をもてる場としてデイサービスを勧めましょう。介護を受けることに対して抵抗がある方でも「ほかの人の役に立ちたい」「誰かのお世話をしたい」といった考えを持つ方がいます。

このような気持ちを大切にして「困っている人を助けてきてほしい」と伝えてみましょう。デイサービスのスタッフに協力してもらい「手伝いにきてもらえませんか?」といった声をかけてもらうのも効果的です。デイサービスによっては地域交流などで、社会的活動ができる場合があります。

また男性同様、趣味を通じてデイサービスを探す方法もあります。手芸やフラワーアレンジメント、ガーデニング、お菓子作りといったレクリエーションは特に女性に人気です。

本人が興味を持っていること、挑戦したいことを聞いて、デイサービス選びに役立てましょう。

認知症の方

認知症の方の場合「デイサービス」といわれても、サービスそのものを理解できていない可能性があります。そのため、デイサービスが「安心して過ごせる場所」だと認識してもらうことから始めましょう。

認知症の方は、環境の変化が苦手です。そのため、はじめのうちは家族が付き添い、デイサービスは安心して楽しめる場所だと感じてもらえるように工夫しましょう。

またデイサービスのなかには、認知症の方を対象とする事業所があります。一般のデイサービスと比べると小規模であり、顔馴染みが作りやすいのが特徴です。

一般のデイサービスでは拒否が続く場合、認知症対応型のデイサービスを検討しましょう。

訪問介護の場合

訪問介護は、入浴・排泄・食事介助といった身体介助から、調理・掃除といった生活支援まで幅広いサービスが受けられます。しかし、ヘルパーが自宅に訪れてサービスを行うことに対して抵抗を感じる方もいます。

訪問介護サービスを利用してもらうには、本人のペースを尊重することが大切です。

自宅に入られることに抵抗がある場合、あまりヘルパーを家の中に入れなくても受けられる「買い物代行」というサービスから始める方法があります。ヘルパーと顔なじみになれば、ほかのサービスを受け入れるきっかけになる可能性があります。

また訪問介護サービスの時間を決める際は、本人の希望を優先しましょう。本人が希望しない時間にヘルパーが訪問すれば、サービスに対してわずらわしさを感じてしまいます。

訪問介護サービスを利用し続けてもらうためにも、本人の生活サイクルを尊重しましょう。

ショートステイの場合

ショートステイは、施設に宿泊して受けるサービスです。短期間であっても、慣れない場所で生活することから利用したくないと感じる方もいます。

ショートステイを利用してもらうには、まず宿泊先の生活に対する不安を知りましょう。そのうえで、解消できるように説明・対処します。

たとえば本人が「ずっと施設に預けられて家に帰ってこられないかもしれない」と感じていれば、宿泊する期間を具体的に伝えましょう。納得してもらうのが難しければ、本人の希望が叶えられるようにケアマネージャーやショートステイ先のスタッフと連携しましょう。

希望に沿った対応をしてもらえれば、本人がショートステイに抱くイメージが改善できる可能性があります。

親が介護サービスを拒否するときの相談先

親が介護サービスを拒否するときの相談先

親が介護サービスを拒否するときは、次の窓口に相談しましょう。

  • ケアマネージャー
  • 市区町村の担当窓口
  • 地域包括支援センター

それぞれ解説します。

ケアマネージャー

担当のケアマネージャーがいる場合は、まず相談しましょう。

ケアマネージャーは、家族と介護サービス事業所をつなぐ役割を担います。そのため介護サービスを拒否することを伝えれば、課題の解決に向けた取り組み、調整をしてもらえる可能性があります。

市区町村の担当窓口

要介護認定を受けていない場合、役所の高齢福祉担当窓口に相談しましょう。役所では、介護に関する総合的な相談を受け付けています。相談内容に応じて、担当窓口や必要な手続き、関係機関の案内が受けられます。

介護サービスを利用するのに必要な要介護認定に関しても、役所で申請できます。親に介護サービスを利用してほしくてもなにから始めたらいいかわからない方は、お住まいの市区町村に相談しましょう。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢者の方やその家族、近隣にお住まいの方を対象とした相談窓口です。保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーといった介護・福祉・医療の専門家が相談を受け付けています。

関係機関とも連携しているため、相談内容に応じて解決に向けたサポートをしてもらえます。

なお、お住まいの住所によって管轄する地域包括支援センターが異なります。相談する際は、被介護者が暮らす地域のセンターに問い合わせましょう。

まとめ

まとめ

介護サービスを利用してもらうには、まず拒否する本人の気持ち・考えを聞くことが大切です。

そして、家族が利用してもらいたいと思っている理由を伝え、本人が納得したうえで介護サービスを利用し始められるように工夫しましょう。介護サービスを利用してもらうためのコツを取り入れ、本人・家族が望む生活を実現させましょう。

この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

かいごマガジン編集部です。
介護の専門的な情報をどこよりもわかりやすく紹介していきます。
また、世の中の介護がどのように変化していっているのか最新の情報も随時発信していきますのでお楽しみに!
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