自宅介護に必要なものを場面別に紹介!始める前に確認すべき4つのポイントも解説

自宅介護に必要なものを場面別に紹介!始める前に確認すべき4つのポイントも解説

「自宅介護に必要なものには、どんなものがあるの?」

「自宅介護を始める前にどんなポイントを確認するべき?」

このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

自宅介護に必要なものは、要介護者の身体状況によって異なります。状態に合った介護用品を選べば、家族の負担軽減に役立つでしょう。

本記事では、自宅介護を始める前に確認すべき4つのポイントと必要なものを中心に解説します。

自宅介護に必要なものは?

自宅介護に必要なものは?

介護が必要な状態になっても、自宅で過ごしたいと望む方は少なくありません。自宅であれば、環境を変えずに本人のペースで生活できるメリットがあります。

しかし、自宅介護で家族にかかる負担は大きく、要介護者の状態によっては安全に生活できるように配慮が必要です。介護にたずさわった経験がない場合、介護に必要なものがイメージしづらいこともあるのではないでしょうか。

自宅介護の環境を整える方法の1つに、介護用品を活用する方法があります。介護用品はおもに次の場面で役立ちます。

  • 食事の場面
  • 排泄の場面
  • 入浴の場面
  • 移動する場面

それぞれの場面で役立つ、具体的な介護用品をご紹介します。

食事の場面

要介護者のなかには身体が思うように動かせず、食事の場面でストレスを抱える方も少なくありません。そこで役に立つのは、身体が動かしづらい方が使いやすいように配慮された箸やスプーン、フォークなどの介護用品です。

介護用品の箸は通常の箸と異なり、2本が一体になっていて握るような動作で使用できます。介護用品のスプーンやフォークは、持ち手がシリコン製になっていて滑りにくかったり、握りやすい形に加工されていたりするのが特徴です。

要介護者の状態に合わせて選べば、ストレスを抱えずに食事できるでしょう。ほかにも、飲み込みづらさを感じる方の食事や水分に使用するトロミ剤というものもあります。

食事の際の飲み込みづらさやむせ込みなどを放置すると、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクもあります。トロミ剤を使用すれば、食べ物や飲み物がまとまりやすくなって飲み込みやすくなり、飲み込む力が弱い方でも安全に食事をすることが可能です。

適切な介護用品を使用すれば、介護者の負担も軽くなります。要介護者の状態に応じて、使用する介護用品を選びましょう。

排泄の場面

排泄介助で必要なものは、手袋、おしりふき、消臭剤などです。

特に自宅でポータブルトイレを使用する場合、排泄物の臭いに悩む方は少なくありません。ポータブルトイレ専用の消臭剤もあり、液状やシート状、泡状などさまざまなタイプがあります。使いやすさや予算に応じて選びましょう。

またトイレに間に合わない方の場合、リハビリパンツや尿取りパッドを活用すれば衣類の汚染を防げます。寝たきりの方の場合は、おむつカバーと尿取りパッドを併用すれば、おむつ交換もスムーズです。

ベッドに防水シーツなどを敷いておけば、万が一おむつから排泄物が漏れてしまっても、ベッド自体の汚染は避けられるでしょう。

入浴の場面

高齢者の入浴中の事故による死亡者数は交通事故の死亡者数よりも多く、特に注意して環境整備をしなければなりません。自宅で入浴できる方の場合、入浴用の椅子や滑り止めマット、浴槽用の手すりなどを使用すれば、安全に入浴できるでしょう。

なかでも入浴用の椅子は、背もたれやひじ掛けがあるタイプであれば安心して入浴できます。座面が回転するものもあるため、身体状況や浴室の広さに応じて選びましょう。

移動する場面

外出などで移動する場面では、転んで骨折してしまうリスクもあります。要介護者の歩行能力に応じて、車椅子や杖などを使用しましょう。

車椅子は歩けない方だけでなく、歩行が不安定な方や疲れやすい方にも適しています。介助者が車椅子を押して移動するのが難しい場合は、電動車椅子を使用する方法もあるでしょう。

杖は一般的なT字状のものだけでなく、杖の先端が3点~4点に分かれているタイプもあります。杖によって安定性や重さ、長さなどに差があるため、実際に手に取って使いやすいものを選びましょう。

身体状況別におすすめな便利グッズ

身体状況別におすすめな便利グッズ

要介護者のなかには、疾病によって生活のしづらさを感じる方も少なくありません。しかしその悩みを解決できれば、自分でできることが広がったり介助者の負担軽減につながったりする可能性もあります。

要介護者の身体状況別に、おすすめな便利グッズをご紹介します。

認知症の方

警視庁のデータによると、令和2年に認知症が原因で行方不明届が出された方の数は、17,565名にのぼりました。

認知症の症状の1つに「徘徊」がありますが、この症状によって自宅から遠く離れた土地で発見されたり、事故に巻き込まれたり、本人が自分の名前を言えずに行方不明者のままであったりするケースもあります。

そのため徘徊の症状がある方を自宅介護する場合は、行方不明にならないように対策しなければなりません。徘徊の対策には、次のようなグッズが役立ちます。

  • 人感センサー
  • GPS機器
  • 見守りカメラ

なかでもGPS機器は小型のものもあり、認知症の方本人がよく使うものに取り付けることが可能です。

たとえば必ず持ち歩くポーチや鍵、専用の靴に取り付けられるものもあり、その時にいる位置だけでなく、生活圏内から出ると通知が来るなどの機能がある機器も存在します。

自宅介護であっても、認知症の方を常に見守るのは困難です。このような便利グッズも活用し、家族にかかる負担を軽減しましょう。

参考:警察庁生活安全局生活安全企画課|令和2年における行方不明者の状況

身体に麻痺がある方

脳梗塞などの後遺症によって身体に麻痺が残る方でも、環境を整えれば生活しやすくなるでしょう。たとえば、着脱しやすい衣類を用意すれば更衣介助がしやすくなる可能性があります。

身体に麻痺がある場合、麻痺側の腕や足に衣類が通しにくいこともあるでしょう。高齢者の皮膚は皮むけや内出血になりやすく、介助にも配慮が必要です。

着替えやすい衣類には、次のようなものがあります。

  • 前開きのシャツ
  • マジックテープのボタン付きの衣類
  • 伸びやすい生地の衣類

上記のような衣類であれば、介助のしやすさだけでなく、要介護者本人も更衣しやすくなります。本人ができることが広がれば、介助量が減って家族の負担も軽減できるでしょう。

自宅介護を始める前に確認すべき4つのポイント

自宅介護を始める前に確認すべき4つのポイント

自宅介護を安心して始めるには、次のポイントを事前に確認しましょう。

  • 介護保険の申請
  • 生活環境
  • 必要な資金
  • 協力体制

それぞれ解説します。

介護保険の申請

介護が必要になったら、介護保険の申請を検討しましょう。介護保険は介護保険サービスを利用する際に必要ですが、サービスを利用する本人が住む市区町村に申請しなければ利用できません。

自宅介護で利用できるサービスだけでなく、介護施設に入居する際も要介護認定を受けていることが条件に含まれる施設もあります。介護が必要になったら、忘れずに申請しておきましょう。

生活環境

自宅介護を始める前に、安全に生活できる部屋のレイアウトになっているかを確認しましょう。

要介護者が安全に生活するには、スムーズに移動できるように動線を確保しなければなりません。環境によっては手すりの設置や段差の解消、洋式便器の変更なども必要です。

なお介護に必要な住宅リフォームであれば、「居宅介護住宅改修費」を受け取れる可能性があります。リフォームにかかる費用は少なくないため、このような制度を活用しつつ準備を進めましょう。

必要な資金

自宅介護を継続するには、資金も欠かせません。公益財団法人生命保険文化センターが実施した調査によると、自宅介護に月々かかる費用は平均4.8万円です。

自宅であれば食費や光熱費、介護サービスを利用する場合はその費用も必要です。自宅介護にかかるおおまかな費用を把握し、資金面で不安がないかも確認しましょう。

参考:生命保険文化センター|2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査

協力体制

自宅介護を始める前に、周囲の協力体制も確認しましょう。

介護を自分1人で続けるのは、体力的な部分だけでなく精神的な部分でも大きな負担がかかります。そのため家族間の協力体制や、介護サービスの利用有無についてもあらかじめ相談しておきましょう。

協力を依頼できそうな家族がいる場合は、どれくらい介護に関われるかを確認し、おおまかな役割分担を決めておきます。そうすれば、足りない部分を補うために適切な量の介護サービスが利用できるでしょう。

自宅介護に悩まないための2つの対処法

自宅介護に悩まないための2つの対処法

自宅介護を無理なく続けるためには、次の対処法が有効です。

  • 介護サービスを活用する
  • 介護技術を習得する

それぞれ解説します。

介護サービスを活用する

自宅介護で利用できる介護サービスは幅広く、悩みに応じて使い分けられるのがメリットです。たとえば、自宅にヘルパーが訪問し調理や買い物、おむつ交換などが受けられる訪問介護、緊急時にヘルパーが駆けつける夜間対応型訪問介護などのサービスがあります。

ほかにも施設に短期間宿泊できるショートステイや、日中に施設に通うデイサービスなどもあります。利用するご本人の希望を考慮しつつ、必要に応じて介護サービスを活用しましょう。

介護技術を習得する

介護を始めたばかりのタイミングでは、ひとつひとつの介助に時間がかかったり負担を感じたりする場面もあるでしょう。

介護技術が向上すれば、時間の短縮や介助の負担も軽くなります。介護技術の教室を開催している自治体もあるため、参加すれば実践的な技術が身につくでしょう。

またケアマネジャーやヘルパーに介助方法を教わる方法もあります。要介護者の状態を知る関係者に相談すれば、より負担軽減につながる技術が身につくでしょう。

まとめ

まとめ

自宅介護を始めるには、要介護者の状態に応じて必要なものを準備しなければなりません。状態に合った介護用品を使用できれば、家族の負担軽減にもつながるでしょう。

事前に確認すべきポイントと必要なものを理解し、万全な環境で自宅介護をスタートしましょう。

この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

かいごマガジン編集部です。
介護の専門的な情報をどこよりもわかりやすく紹介していきます。
また、世の中の介護がどのように変化していっているのか最新の情報も随時発信していきますのでお楽しみに!
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