要介護2でも在宅で生活できる?ほかの介護度との違いや利用できるサービスを解説

要介護2でも在宅で生活できる?ほかの介護度との違いや利用できるサービスを解説

「要介護2に認定されたら、在宅で生活するのは難しいの?」

「ほかの介護度とどんな部分が違うの?」

このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

要介護2であっても、在宅生活を送ることが可能です。しかし、安全に生活するためには本人に合った介護サービスを利用する必要があるでしょう。

本記事では、要介護2の方が利用できるサービスやほかの介護度との違いを中心に解説します。

要介護2でも在宅で生活できる?

要介護2でも在宅で生活できる?

要介護2に認定されても、身体状況や生活環境によっては在宅で生活できます。厚生労働省が調査した「国民生活基礎調査の概況」において、要介護2の方が1人暮らししている割合は16.9%でした。

周囲のサポートや介護サービスを活用することで、要介護2であっても1人暮らしや在宅生活は継続できるといえるでしょう。

参考:厚生労働省|国民生活基礎調査の概況

要介護2はどんな状態?

要介護2はどんな状態?

要介護2は、移動や排泄時などに部分的な介護が必要です。掃除や買い物、金銭管理、爪を切るなどの複雑な動作を行う能力の低下もあり、必要に応じて支援しなければなりません。

そもそも要介護度は、「その人の介護にどのくらいの手間がを要するか」を「要介護認定等基準時間」を用いて判断します。要介護認定等基準時間の対象となる介護には、次の分類があります。

  • 直接生活介助(入浴・排せつ・食事等の介護)
  • 間接生活介助(洗濯・掃除等の家事援助等)
  • 問題行動(BPSD)関連介助(徘徊に対する探索・不潔な行為に対する後始末等)
  • 機能訓練関連行為(歩行訓練・日常生活訓練等の機能訓練)
  • 医療関連行為(輸液の管理・じょくそうの処置等の診療の補助等)

上記の介護に要する時間と認知症加算をもとに、要介護認定されるのです。要介護5がもっとも介護に要する時間が多く、介護なしでは生活を送ることが不可能な状態といわれています。

要介護2の方の場合、歩行が自力では困難だったり、排泄や入浴にも見守りや介助が必要だったりする状態です。

要介護1との違い

要介護1と要介護2の違いは、日常生活を送るうえで必要な動作ができるかどうかです。要介護1の場合、排泄や入浴などに一部介助が必要なケースもありますが、日常生活はおおむね自立しています。

要介護3との違い

要介護3と要介護2の違いは、全面的な介助が必要かどうかです。要介護3の場合、金銭管理などの支援だけでなく、日常生活上で必要な動作にもほとんど介助が必要となります。

立ち上がりや歩行が自力ではできなかったり、排泄・入浴・衣服の着脱なども介助が必要だったりするケースもあります。理解力の面でも要介護2と比較すると低下しており、状態によっては在宅生活が難しいこともあるでしょう。

要介護2の方の介護にかかる費用

要介護2の方の介護にかかる費用

要介護度ごとに介護にかかった一時的な費用と月額費用は、次の表のとおりです。

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
一時的な費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など)39万円61万円98万円48万円107万円
月額費用5.3万円6.6万円9.2万円9.7万円10.6万円

参考:生命保険文化センター|2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査

要介護2の方の介護にかかる費用は、一時的な費用で61万円、月額費用で6.6万円です。要介護度5における月額費用は10.6万円となっており、介護度が上がるにつれて費用も高くなることがわかります。

身体機能が低下すると、介護度も上がる傾向があります。費用の面でも、現在の身体機能の維持・向上が大切だといえるでしょう。

要介護2で利用できる介護サービスの種類

要介護2で利用できる介護サービスの種類

要介護2の方が在宅で利用できる介護サービスは、おもに次の種類があります。

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 居宅療養管理指導
  • 訪問リハビリテーション
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • デイサービス(通所介護)
  • デイケア(通所リハビリテーション)
  • 小規模多機能型居宅介護
  • ショートステイ(短期入所生活介護)など

在宅で利用できる介護サービスの量は、要介護度別に「支給限度額」として決められています。要介護度別の支給限度額は、以下の表のとおりです。

要介護1167,650円
要介護2197,050円
要介護3270,480円
要介護4309,380円
要介護5362,170円

参考:厚生労働省|介護サービス情報公開システム「サービスにかかる利用料」

支給限度額内で介護サービスを利用した場合、利用者が負担する費用の割合は原則1割です。ただし、支給限度額を超えた場合は超えた分の費用が全額自己負担となるため注意しましょう。

在宅で利用できるサービスのなかでも利用者数が多い、訪問介護とデイサービスについて解説します。

訪問介護

訪問介護は、ホームヘルパーが利用者の自宅に訪問し、食事や排泄などの身体介助や、掃除や調理などの生活援助といったサービスを提供します。訪問介護にかかる費用は、サービスの種類と利用時間、そのほかの費用(加算)です。

サービスの種類と利用時間ごとの費用は、以下の表のとおりです。

サービスの種類利用時間1回あたりの費用の目安(1割負担の場合)
身体介護20分未満167円
20分以上30分未満250円
30分以上1時間未満396円
1時間以上1時間半未満579円30分増すごとに+84円
生活援助20分以上45分未満183円
45分以上225円
通院時の乗車・降車等介助1回につき99円

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造

なお、生活援助サービスのひと月の利用回数に制限があり、要介護2の場合は34回です。身体介助に回数制限はありませんが、支給限度額を超えた分は全額自己負担となります。

訪問介護のなかで要介護2の方がもっとも利用しているのは生活援助です。要介護2と認定されても介護が必要な場面には個人差があるため、その方の課題に応じて利用できるサービスだといえるでしょう。

デイサービス(通所介護)

デイサービスは、利用者が施設に日帰りで通い、食事や入浴の支援や機能訓練などを受けられます。

看護師による観察が必要な方が通う療養通所介護や、認知症に特化した認知症対応型通所介護などの種類もあり、施設の規模や利用時間によって費用に差があります。

要介護2の方が通常規模の施設を利用する場合、費用は以下の表のとおりです。

利用時間費用の目安
3時間以上4時間未満421円
4時間以上5時間未満442円
5時間以上6時間未満670円
6時間以上7時間未満686円
7時間以上8時間未満772円
8時間以上9時間未満787円

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造

上記の費用のほかに、入浴中の利用者の観察・介助を行った場合に「入浴介助加算」などの加算が追加される場合もあります。要介護2の方の場合、ひと月あたりの利用回数は平均10回です。週に2回〜3回程度の利用が多いといえるでしょう。

要介護2で入居できる施設の種類

要介護2で入居できる施設の種類

要介護2の方が入居できる可能性がある施設は、おもに次の種類があります。

  • 介護老人保健施設(老健)
  • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 軽費老人ホームなど

このなかから介護老人保健施設と有料老人ホームについて解説します。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、介護を必要とする高齢者が在宅復帰を目指す施設です。基本型や在宅強化型などの種類があり、医師の医学的管理のもと理学療法士などによるリハビリテーションを受けられます。

入居できるのは、原則65歳以上で要介護度1~5の方と、病状が安定していてリハビリテーションが必要な方です。病院を退院した方が在宅復帰が困難な場合に入居するケースもあり、入居期間は原則3ヶ月となっています。

要介護2の方が在宅強化型を利用する際にかかる施設サービス費は、以下の表のとおりです。

居室の種類従来型個室多床室ユニット型
1日にかかる費用の目安828円910円915円

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造

上記の施設サービス費に加え、居住費、食費などがかかります。特別養護老人ホームや介護医療院などの公的施設のなかでも、介護老人保健施設は要介護2の方がもっとも利用している施設です。

有料老人ホーム

有料老人ホームは高齢者が心身の健康を保ちながら、安定した生活が送れるように配慮された住まいです。健康型・住宅型・介護付きの3種類の有料老人ホームがありますが、要介護2の方が入居できるのは住宅型か介護付きのどちらかとなります。

住宅型有料老人ホームでは生活支援が受けられますが、介護が必要な場合は訪問介護サービスを利用します。介護付き有料老人ホームは、施設のスタッフによる介護を受けることが可能です。

入居時に一時金がかかる場合もあり、月額費用も施設ごとに大きく差があります。

条件を満たせば特別養護老人ホームに入居できる可能性も

公的施設である特別養護老人ホームは費用が比較的抑えられますが、原則として要介護3以上でなければ入居できません。しかし、次の要件のいずれかを満たしていれば、特例として入居が認められるケースもあります。

  • 認知症によって、日常生活に支障をきたす症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られる状態
  • 知的障害・精神障害等によって、日常生活に支障をきたす症状・行動や意思疎通の困難さなどが頻繁に見られる状態
  • 家族等による深刻な虐待が疑われるなどの理由によって、心身の安全・安心の確保が困難な状態
  • 1人暮らしまたは同居家族が高齢などの理由で家族による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分な状態

上記に該当する場合、要介護1または2であっても優先的に入居できる可能性があります。入居を希望する場合は、担当のケアマネージャーや地域包括支援センターなどに相談してみましょう。

福祉用具を活用して在宅生活を送る方法も

福祉用具を活用して在宅生活を送る方法も

在宅生活を安全に送るために、福祉用具を活用する方法もあります。福祉用具には車椅子や歩行器、電動ベッドなどの種類があり、介護保険を利用してレンタルできます。

例えば、布団からの起き上がりや立ち上がりに不安があれば、電動ベッドを活用して転んでしまうリスクを軽減する方法もあるでしょう。福祉用具は、要支援1の方から要介護5の方まで幅広いニーズに応えていますが、なかでも利用している割合が多いのは要介護2の方です。

レンタルする際には、福祉用具専門相談員に身体状況や希望などを相談しながら、利用する福祉用具を決めます。数多くの福祉用具を取り扱っているため、悩みの解決に役立つ可能性があるでしょう。

まとめ

まとめ

要介護2であっても身体状況には個人差があり、 必要な支援は異なります。状態に合わせて介護サービスを利用すれば、安心して在宅生活を継続できるでしょう。

また、要介護2の方が入居できる施設も少なくありません。本人や家族の希望を考慮しつつ、状況に適した環境を選びましょう。

この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

かいごマガジン編集部です。
介護の専門的な情報をどこよりもわかりやすく紹介していきます。
また、世の中の介護がどのように変化していっているのか最新の情報も随時発信していきますのでお楽しみに!
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