在宅介護とは?メリット・デメリットと利用できるサービスの種類を解説します!

在宅介護とは?メリット・デメリットと利用できるサービスの種類を解説します!

「在宅介護って具体的にどんな内容?」

「どんなサービスが使えるの?」

このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

自宅で介護を受けることを在宅介護といいます。介護サービスを使いながら自分のペースで生活できますが、介護者である家族に負担がかかる可能性もあります。

本記事では、在宅介護で利用できるサービスの種類とメリット・デメリットを中心に解説します。

在宅介護とは?

在宅介護とは?

在宅介護とは、住み慣れた自宅で介護を受けることを指します。自分のペースで生活でき、家族と共に暮らせば安心して生活できるでしょう。

在宅介護以外の選択肢として検討される傾向があるのは、施設への入所です。プロによるケアが受けられるため、家族の身体的・精神的な負担の軽減につながります。

令和4年10月サービス分の介護保険事業状況報告によると、在宅でサービスを受けた方は約417万人であるのに対し、施設に入所してサービスを受けた方は約96万人です。

介護サービスを活用しながら自宅で生活する方は、比較的多いといえるでしょう。

参考:厚生労働省|介護保険事業状況報告の概要

在宅介護で利用できるサービスの種類

在宅介護で利用できるサービスの種類

介護サービスを利用するには、まず要介護認定を受けなければなりません。要介護認定は、心身の状態によって「要支援1・2」「要介護1~5」の区分に判定されます。

認定を受けたら、サービスの種類や回数をケアマネージャーと決定し、ケアプランにもとづいて提供されます。在宅介護で利用できる介護サービスは、次のとおりです。

  • 自宅に訪問してもらうサービス
  • 施設に通って受けるサービス
  • 短期間宿泊できるサービス
  • 訪問・通い・宿泊を組み合わせたサービス
  • 福祉用具のレンタルや購入できるサービス

それぞれ解説します。

自宅に訪問してもらうサービス

自宅にヘルパーなどが訪問するおもなサービスは、次のとおりです。

  • 訪問介護
  • 訪問入浴
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリ
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

それぞれのサービス内容を解説します。

訪問介護

訪問介護は、ホームヘルパーが訪問してサービスを提供します。受けられるサービスは次のとおりです。

  • 身体介護(食事・排泄・入浴などの介助)
  • 生活援助(掃除・洗濯・買い物・調理などの支援)
  • 通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス

大掃除やペットの世話など、日常生活の範囲を超えるサービスは受けられません。

訪問入浴

訪問入浴は、介護職員や看護職員が訪問して入浴のサービスを提供します。浴槽や湯沸し器を職員が持参するため、自宅の浴槽で入浴できない方でも安心して利用できるでしょう。

訪問看護

訪問看護は、看護師が療養中の利用者の自宅に訪問し、心身機能の維持や回復を目的としたサービスを提供します。主治医の指示にもとづいた、次のようなサービスが受けられます。

  • 健康状態のチェック(血圧・脈拍・体温の測定など)
  • 身体介護(排泄・入浴などの介助)
  • 在宅酸素
  • 褥瘡の処置
  • リハビリテーション
  • 看取りの対応

療養中に必要なサービスが受けられるため、疾患があっても安心して自宅で過ごせるでしょう。

訪問リハビリ

訪問リハビリは、理学療法士や作業療法士などが訪問してサービスを提供します。心身機能の維持・回復や、自立した日常生活を送ることを目的としたリハビリテーションが受けられます。

自宅にいながらリハビリテーションを受けられるため、外出が難しい方でも利用可能です。

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護は、利用者が自宅で24時間安心して生活できるよう、夜間帯にホームヘルパーが訪問するサービスです。定期巡回と随時対応の2種類のサービスがあります。

定期巡回はおもに18時~翌8時に定期的にヘルパーが訪問し、排泄介助や安否確認などが受けられます。随時対応は、緊急時にヘルパーを呼ぶと対応してもらえるサービスです。

具体的な利用場面は次のとおりです。

  • ベッドから転落して起き上がれない
  • 体調が急に悪くなったなど

必要に応じて救急車の手配などにも対応してもらえるため、夜間も安心して過ごせるでしょう。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間365日、定期巡回や随時対応などを組み合わせて適切なタイミングでサービスを提供します。ホームヘルパーと看護師が連携しているため、利用者の心身の状況に合わせて対応してもらえるでしょう。

施設に通って受けるサービス

通いで受けるおもなサービスは、次のとおりです。

  • デイサービス(通所介護)
  • デイケア(通所リハビリテーション)

それぞれ解説します。

デイサービス(通所介護)

デイサービスは、デイサービスセンターなどの施設に日帰りで通い、介護職員などから受けられるサービスです。受けられるサービスは次のとおりです。

  • 食事や入浴などの支援
  • 機能訓練
  • 口腔機能向上サービスなど
  • 自宅~施設間の送迎

デイサービスには、難病などによって看護師による観察が必要な方が通う療養通所介護や、認知症の方を対象とした専門的なサービスを提供する認知症対応型通所介護などの種類もあります。

デイケア(通所リハビリテーション)

デイケアは、介護老人保健施設や介護医療院などに日帰りで通い、介護職員やリハビリ専門職などから受けられるサービスです。食事や入浴などの支援に加え、次のサービスが受けられます。

  • 運動器の機能向上
  • 栄養改善
  • 口腔機能の向上

これらのサービスを利用者の状態に合わせて組み合わせます。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などによる専門的なリハビリテーションが受けられるのが特徴です。

短期間宿泊できるサービス

施設に短い期間宿泊できる「ショートステイ」というサービスがあります。ショートステイは、次の2種類です。

  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護

それぞれ解説します。

短期入所生活介護

短期入所生活介護は、特別養護老人ホームなどに短期間泊まり、介護職員などによるサービスが受けられます。

利用者の孤独感の解消や心身機能の維持・回復だけでなく、家族の介護負担の軽減も目的としており、入浴や食事の支援や機能訓練などが受けられます。短期入所生活介護は、最大30日間連続で利用可能です。

短期入所療養介護

短期入所療養介護は、医療機関や介護老人保健施設などに短期間泊まって受けられるサービスです。医師や看護師、介護職員、理学療法士などによる、医学的管理のもとにおける介護や必要な医療、機能訓練などが受けられます。

訪問・通い・宿泊を組み合わせたサービス

訪問・通い・宿泊を組み合わせた「小規模多機能型」というサービスもあります。小規模多機能型は次の2種類です。

  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

それぞれ解説します。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、施設への「通い」を中心に利用者のニーズに応じて、施設への「宿泊」や自宅への「訪問」が組み合わせられるサービスです。施設や自宅において必要な支援が受けられ、顔馴染みの介護職員に対応してもらえるメリットがあります。

看護小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護のサービスに加え、看護師による「訪問看護」も組み合わせられます。看護師による健康状態のチェックや医療的ケアを受けられるため、入院が必要な状態であっても自宅での生活が継続できるでしょう。

福祉用具のレンタルや購入できるサービス

福祉用具には、車椅子や歩行器などをはじめとしたさまざまな種類があります。これらのレンタルや購入をサポートしてもらえるサービスは次の2種類です。

  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売

それぞれ解説します。

福祉用具貸与

福祉用具貸与は、指定を受けた事業者の福祉用具専門相談員などによって提供されるサービスです。車椅子や歩行器など、利用者に必要な福祉用具をレンタルします。

利用者の心身状態や生活環境などに合わせ、適切な福祉用具選びのサポートや調整・取付けを行います。

特定福祉用具販売

特定福祉用具販売は、レンタルに適していない福祉用具を販売するサービスです。具体的には、腰掛便座や移動用リフトのつり具の部品など、レンタルして再利用するには心理的に抵抗感を感じる福祉用具を販売します。

在宅介護のメリット

在宅介護のメリット

在宅介護には、次の2つのメリットがあります。

  • 本人の希望を叶えやすい
  • 必要なサービスだけを選べる

それぞれ理由を解説します。

本人の希望を叶えやすい

本人の希望を叶えやすいことが在宅介護のメリットです。内閣府が実施した調査によると、介護が必要になった場合に介護を受けたい場所は以下の結果となりました。

  • 自宅:44.7%
  • 特別養護老人ホームなどの施設:33.3%
  • 介護付きの有料老人ホームなどの住まい:9.0%

自宅で介護を受けたい理由として、「住みなれた自宅で生活を続けたいから」と答えた方が多く、ほかにも「施設で他人の世話になるのはいやだから」「施設に入るだけの金銭的余裕がないから」などの理由が挙げられています。

上記の結果からも在宅介護を望む方は比較的多く、本人と家族の関係性ならではの介護ができる部分は、在宅介護のメリットだといえるでしょう。

参考:内閣府|高齢者介護に関する世論調査

必要なサービスだけを選べる

幅広い介護サービスから必要なものだけを選べるのも、在宅介護のメリットです。利用者の希望や状況に合わせてサービスを選択できるため、プライベートな時間も確保しつつ、安心して生活できるでしょう。

在宅介護のデメリット

在宅介護のデメリット

在宅における日々の介護において、介護者である家族の身体的・精神的な負担は少なくありません。日本労働組合総連合会が実施した調査によると、実際に在宅介護をしている介護者がストレスを感じている割合は80.0%でした。

なかでも認知症であって問題行動があり、専門的な医療が必要な方を介護している介護者の92.3%がストレスを感じると回答しています。また、介護にかかる時間も介護度によって、以下の表のような差があります。

要介護3要介護5
ほとんど終日32.5%56.7%
半日程度17.6%12.8%
2~3時間程度13.1%7.9%
必要なときに手をかす程度27.7%3.0%
その他5.9%11.9%
不詳3.3%7.7%

参考:厚生労働省|国民生活基礎調査の概況(2019年)

要介護5の方を介護する半数以上の方はほとんど終日を介護に費やしており、プライベートな時間なども確保しづらいといえるでしょう。

参考:日本労働組合総連合会|要介護者を介護する人の意識と実態に関する調査

在宅介護に限界を感じたら

在宅介護に限界を感じたら

在宅介護による負担は大きく、ストレスや限界を感じても在宅介護を続けた場合、介護者である家族が体調を崩しかねません。在宅介護に限界を感じた場合、次の方法を試してみましょう。

利用しているサービスを見直す

現在利用しているサービスを見直しましょう。サービスのなかには、介護者の負担を軽減する「レスパイト」を目的としたものもあります。

ショートステイは「在宅介護を続けられない」と感じている方が多く利用しています。ショートステイを利用すれば、食事の準備や生活に必要な介護などもプロに任せられるため、介護者も安心して休息できるでしょう。

悩みを人に相談する

在宅介護の悩みは家族や親戚、友人、ケアマネージャー、ヘルパーなどに相談してみましょう。

誰かに相談することで、違う視点からのアドバイスがもらえたり、実際に介護に役立つ知識や技術が学べるきっかけになったりする可能性があります。ほかにも以下のような相談場所があります。

  • 役所の福祉関係の窓口
  • 地域包括支援センター
  • 自宅で家族を介護している方が集まる家族会など

ご自身にとって相談しやすい方に悩みを打ち明けてみましょう。

在宅介護の負担を軽減できる制度も

在宅介護の負担を軽減できる制度も

在宅介護によって経済的な不安を抱えている場合、次の制度が活用できる可能性があります。

  • 介護休業給付
  • 居宅介護住宅改修費
  • 高額介護サービス費

それぞれ解説します。

介護休業給付

介護休業給付は、働いている方が介護休業を取得した場合に受け取れる補助金です。

1年以上雇用保険に加入している方などが対象であり、給与の67%が保証されます。条件を満たした場合は最大93日を上限に支給されます。原則として、就業先の事業所が申請しますが、希望すれば自身で申請することも可能です。

居宅介護住宅改修費

居宅介護住宅改修費は、自宅における介護に必要な改修のために受け取れる補助金です。具体的には手すりの取り付けなどが該当します。要介護認定されている方が対象であり、実際にかかった改修費用の9割が支給されます。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、所得に応じて決められた負担の上限額を超えた費用が支給される補助金です。対象となるのは介護サービス費であり、例えば生活保護を受給している方であれば、負担の上限額は15,000円となります。

介護施設に入居する選択肢もある

介護施設に入居する選択肢もある

在宅介護に限界を感じた場合、次のような施設に入居する選択肢もあります。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 有料老人ホーム
  • グループホームなど

施設であれば生活に必要な介護はプロに任せられ、体調が急変しても適切に対応してもらえるでしょう。

しかし、費用面において介護度によって差はありますが、在宅でかかった費用は平均4.8万円なのに対し、施設でかかった費用は平均12.2万円です。在宅と施設のメリット・デメリットを比較して検討しましょう。

参考:生命保険文化センター|生命保険に関する全国実態調査

まとめ

まとめ

在宅介護は、介護者である家族の負担が少なくありません。心身の疲労を感じながら介護を続けると、共倒れになってしまう危険性もあります。

在宅介護では幅広いサービスが受けられるため、家族みんなが健やかに生活できるように活用しましょう。

この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

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