「養護老人ホームに入所したいけど、費用面が心配…」
「養護老人ホームは他の施設より安いの?」
養護老人ホームへ入所したくても、上記のような不安を抱えている高齢者も多いのではないでしょうか。
施設への入所を考えている中で「費用」は必ず気になるポイントでしょう。気になる施設の費用がわかると、施設入所へ踏み切りやすくなります。
当記事では、養護老人ホームにかかる費用や入居までの5ステップ、2つの入居事例を詳しく紹介します。
記事目次
養護老人ホームにかかる費用は収入によって異なる
養護老人ホームにかかる費用は、個人の収入によって異なります。
養護老人ホームは、経済的な理由で入所する高齢者も多い施設であり、低所得の高齢者も入所できるため一人ひとりが支払い可能な金額が設定されるのが特徴です。
ここでは、前年度の収入の算出方法や、養護老人ホームの入居にかかる初期費用を紹介します。
前年度の収入の算出方法
養護老人ホームの利用費は、前年度の収入を39段階の費用徴収区分に当てはめて決定されます。
前年度の収入は、「年金収入−(医療費+社会保険料)」で算出します。上記の算出方法で決まった前年度収入に応じた、施設利用料は以下の通りです。
- 前年度収入144〜150万円未満:施設利用料=81,100円
- 前年度収入40〜42万円未満:施設利用料=10,800円
- 前年度収入27万円未満:施設利用料=0円
養護老人ホームの入居にかかる初期費用
養護老人ホームでは、入居にかかる初期費用は0円です。有料老人ホームといった介護施設によっては、入居の際に高額な初期費用がかかる場合もあります。
養護老人ホームは、経済的な理由で入居する低所得な高齢者も多いことから、入居の際に費用はかかりません。ただし、初期費用がかからないことや前年度の収入に応じた施設利用料が設定されている代わりに、長期的な入居は難しい傾向にあります。
養護老人ホームに入居するまでの流れは5ステップ
養護老人ホームに入居するまでの流れは、次の通りです。
- ステップ1.入所相談
- ステップ2.入所申込
- ステップ3.入所審査
- ステップ4.入所可否の審査
- ステップ5.決定・入所
5ステップについて、それぞれ詳しく紹介します。
ステップ1.入所相談
養護老人ホームに入所するには、最初に相談が必要です。
養護老人ホームは、経済的に困窮している方や環境要因により自宅での生活が難しい方など、入所条件が厳密に決められています。希望する方誰もが入所できるわけではないため、条件を満たしているか自治体から判断してもらわなければいけません。
入所に関する相談は、民生委員や地域包括支援センター、居住地域の市区役所などで受け付けています。また、養護老人ホームの窓口で受け付けている場合もあるため、まずは相談してみましょう。
ステップ2. 入所申込
相談し養護老人ホームに入所を希望する場合は、入所申込を行います。入所申込は代理で家族に行ってもらうことも可能です。
申込用紙に加え、介護保険証など必要書類を準備した上で市区町村の窓口に提出しましょう。
ステップ3.入所審査
入所審査では、申込書類の確認に加えて申込者の状況が詳しく調査されます。
前述した通り、養護老人ホームは入所条件が厳密に決められており、経済的に困窮している高齢者や環境要因で自宅での生活が難しい高齢者などが入所する施設です。
入所条件を満たしているのか、自治体担当者がADLや経済状況、環境など総合的に判断します。
ステップ4.入所可否の審査
自治体担当者による入所審査のあとは、サービス調整会議及び入所判定委員会による入所可否の審査があります。
入所可否の審査では、申込書類や申込者の状況、担当者の話などを総合的に判断します。入所可否は総合的な内容から決定されますが、各自治体によって判断が異なる場合があります。
経済的困窮の度合いといった、具体的な基準が自治体ごとで決められています。他の自治体の入所条件を満たしていても、居住地の自治体では入所不可と判断される可能性も少なくありませんので注意しましょう。
ステップ5.決定・入所
サービス調整会議及び入所判定委員会の審査に通過すると、入所が決定します。入所決定となったあとは、養護老人ホームと申込者の間で入所日など細かい調整が行われます。
自治体担当者と調整を行うわけではないため、注意しましょう。また、サービス調整会議及び入所判定委員会の審査に通らなかった方は、養護老人ホームの入居待機者になります。
養護老人ホームにおける2つの入居事例
実際に養護老人ホームに入居した方の事例がわかると、入所の申し込みに踏み出しやすくなるでしょう。ここでは、次の2つの事例を紹介します。
- 事例1,地域から孤立して自宅での生活が難しい
- 事例2,次の施設への入居待ちをしている
事例1.地域から孤立して自宅での生活が難しい
Aさんは現在83歳。
夫をはじめ家族が先に亡くなっているため、身寄りがなく一人暮らしをしています。一軒家で生活を送っていますが、生活をサポートしてくれる家族もいないため、家の中は綺麗とは程遠い状態になっていました。
Aさんの生活状況や自宅の管理により、火事のリスクも考えられることから、近隣住民との関係性も悪くなっていました。そんなAさんの状況を知った民生委員が、市の福祉課に連絡・相談。
その後、市の担当者とAさんが面談を行った結果「自宅での生活は難しい」との判断になり、養護老人ホームへ入所しました。
事例2.次の施設への入居待ちをしている
Cさんは現在70歳。
持病の悪化で入院していましたが、退院後の生活に困難が想定されていました。というのも、Cさんは退院後は介護が必要になり、自宅に戻っても満足のいく介護を受けられる可能性が低いためです。
Cさんの病状を考えると、自宅に戻るより施設へ入所した方が満足のいく生活を送れると考えられます。そこで利用可能な施設が見つかるまでの間を、養護老人ホームへ入所して生活を送ることになりました。
養護老人ホームは、施設内での生活を望む方の入居をはじめ次の施設への入居待ちにも利用されます。
まとめ
ここまで、養護老人ホームにかかる費用や入居までの5ステップ、2つの入居事例を詳しく紹介しました。
養護老人ホームは、入所に関する初期費用はかかりませんが、施設利用料は前年度の収入に応じて発生します。養護老人ホームへの入所を希望している方は、本記事を参考に施設利用料などを計算してみてください。