将来の生活のことを考えて、介護施設や老人ホームへの入居を希望する方は多いのではないでしょうか。しかし介護施設や老人ホームの違いを知ったり、自分に合う施設を探すのは、知識がないと難しいものです。
そこで本記事では、老人ホームと介護施設の違いや分類、老人ホームと介護施設選びに悩んでいる場合の相談先などを紹介します。
記事目次
老人ホームと介護施設の違いとは?
老人ホームと介護施設の概要は以下の通りです。
- 老人ホーム:高齢者が安心して生活を送れる住宅や施設の総称
- 介護施設:高齢者が介護サービスを受けて生活する施設の総称
上記の通り、両施設とも高齢者が利用する施設ですが、老人ホームの中には介護を必要としない高齢者が生活する施設も存在します。施設への入居を検討している場合は介護の必要度で最適な施設を選ぶとよいでしょう。
老人ホームと介護施設の分類
老人ホームと介護施設には、公的施設と民間施設の2種類があります。ここでは、それぞれの違いや特徴について詳しく紹介します。
1.公的施設
国や地方自治体などが運営する老人ホームや介護施設は、要介護度が高い高齢者や経済的に困窮している高齢者の支援を目的としている施設が多いため、誰でも入居できるわけではありません。
公的施設は民間施設と比べて費用が安いのが特徴です。自治体によっては、減免措置など低所得者でも入居でき安心して生活できる取り組みを行っている場合もあります。
しかし、入居には市町村の審査が必要な場合が多く、入居希望者も殺到しやすいため、すぐに入居しにくい点がデメリットです。
2.民間施設
民間企業が運営する老人ホームや介護施設は、ニーズに応じて充実したサービスを提供しているのが特徴です。また費用は公的施設に比べると高い傾向にあります。
費用の高さがデメリットですが、公的施設に比べると入居待ちも少なく入居ハードルも低いです。また選択肢の幅も広いため、最適な選択肢を選びやすいのも嬉しいポイントといえます。
公的施設の種類とその特徴
公的施設の中でも、種類によって入居条件や特徴が異なります。ここでは、5つの公的施設における特徴について紹介します。
1.ケアハウス
ケアハウスは、経済的に困窮している方や自宅での生活に不安を抱えている方が入居する施設です。
ケアハウスは軽費老人ホームの一部とみなされており、軽費老人ホームC型とも言われます。ケアハウスは「介護型」と「一般型」の2つに分けられています。
介護型 | 65歳以上で、要介護度1以上の認定を受けている高齢者が入居している。食事支援といった支援に加え、介護サービスの利用が必要。 |
一般型 | 60歳以上で環境要因により家庭での生活が困難な高齢者が入居し、生活支援サービスを利用する。介護型よりも入居条件が厳しくないため、入居待ちになる可能性が高い。 |
2.介護老人保健施設
介護老人保健施設は、退院後すぐに自宅での生活が難しい高齢者が機能回復や療養を行う施設です。自宅での生活を目指した支援が行われることから、入居期間は原則3ヵ月と決められています。
介護老人保健施設では介護サービスに加えて、作業療法士や理学療法士による機能回復訓練が受けられます。退所後の生活に不安を抱えている場合は、通所介護やショートステイなどのサービスが利用できる場合があります。
3.特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、要介護3〜5と介護度が高い高齢者が入居している施設です。
特別養護老人ホームは安価で介護サービスを受けられる施設で、一度入居すると亡くなるまで生活を送る高齢者もいるため、看取りまで対応している施設も多いのが特徴です。
特別養護老人ホームは、安価で介護サービスを受けられることから入居希望者が多く、すぐに入居できない可能性が高いといえます。入居条件に加えて、緊急性などで優先順位が決まります。
特別養護老人ホームには介護職員が1日中滞在しており、入居者が安心して生活を送りやすい点がメリットです。しかし看護師は24時間配置されないため、常に医療ケアが必要な方は入居できない可能性もあります。
4.介護療養型施設
介護療養型施設は自宅での生活が困難な、要介護認定を受けた高齢者が入居している施設です。
医学的管理が必要な要介護1以上の高齢者が入居条件で、医師も複数人配置されています。安心して医療ケアを受けられる環境が整っており、理学療法士といった専門スタッフによる機能回復訓練も受けられる点がメリットです。
入居は要介護度や資産・収入などによって総合的に判断されるため、入居基準が高いのがデメリットです。また医療ケアをメインに行う施設であることから、行事やレクリエーションも少ない傾向にあります。
5.軽費老人ホーム
軽費老人ホームは経済的な困窮や自宅での生活が困難である高齢者のうち、要介護認定を受けており、かつ身体的には自立している方が入居している施設です。入居時の初期費用がかからず、入居費用も収入に応じて決まるため安価で入居できるのが特徴です。
軽費老人ホームでは食事の提供といった生活援助が基本です。要介護状態で介護が必要になった入居者は、外部の事業者に介護サービスを委託するケースもあります。
民間施設の種類とその特徴
民間施設の中でも種類によって入居基準や、施設の特徴は異なります。ここでは、5つの民間施設における特徴について詳しく紹介します。
1.サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、要支援だけでなく、介護度の低い要介護認定を受けている高齢者も入居できる施設もあり、入居対象者の幅が広いのが特徴です。
生活の自由度が高く、入居者が自由に生活できる施設が多い傾向にあります。民間施設の中では費用が安い傾向にあり、入居一時金も必要ありません。
2.介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、食事や入浴、排泄などの介護サービスを受けられる介護施設です。
初期費用が0円〜数百万円、月額費用が15万円〜30万円など施設によって費用は異なりますが、民間施設の中では高額になる傾向にあります。介護付き有料老人ホームは以下の2種類に分けられます。
介護専用型 | 要介護認定を受けている方が利用する施設 |
混合型 | 自立している方と要介護認定を受けている方どちらも利用できる施設 |
施設によって入居条件は異なり、介護度が高い方から低い方まで、さまざまな方が入居しています。施設内には介護職員が1日中滞在しているため、安心して生活を送りやすいでしょう。
3.住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは施設内の介護サービスに加えて、在宅介護サービスも組み合わせて利用できる施設です。そのため自分にあった介護サービスを受けられる介護施設だといえるでしょう。
介護度の低い方から介護度の高い方まで入居可能で、費用も介護付き有料老人ホームと比較すると、安い傾向にあります。
4.グループホーム
グループホームは、認知症と診断された方が共同生活を送る施設です。5〜9人で共同生活を送る場合が多く、日常生活の中で専門職のサポートを受けながら認知症の進行を遅らせる支援が受けられます。
月額約10万円で入居できることも多く、他の施設と比較すると費用を抑えて生活しやすいでしょう。
5.健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、自立度が高く介護が必要ない高齢者が入居できる施設です。自分らしい生活を楽しめる環境が整っている施設だといえるでしょう。
体が元気な段階から入居できますが、入居後介護が必要になった場合は他の施設へ移動しなくてはいけません。
老人ホームと介護施設の費用面での違い
老人ホームと介護施設を費用面で比較すると、介護施設の方が月額費用と初期費用がかかる傾向にあります。
公的施設の中でもケアハウスは、敷金や入居一時金を含めた初期費用が0円〜1,000万円かかる場合があります。民間施設でも入居者の資産状況などから、同等程度の初期費用がかかる計算です。
月額費用は公的施設が6万円〜30万円、民間施設が10万円〜40万円がおおよその相場です。中でもケアハウスや介護付き有料老人ホームの費用は、高く設定されやすい傾向にあります。
介護サービスを受けられる施設への入所を検討している方は、費用が高くなりやすいと覚えておきましょう。
老人ホームと介護施設の選択で悩んでいる場合の相談先
老人ホームと介護施設、どちらにすべきか悩んでいる場合、専門職を頼ると入居可能な施設や、条件にあった施設を見つけられるでしょう。ここでは、2つの相談先について詳しく紹介します。
1.地域包括支援センター
地域包括支援センターは、管轄地域における介護施設の情報を把握しています。施設の入居に関して悩み事があれば、相談は無料ですので利用するとよいでしょう。
2.民間の紹介センター
民間の紹介センターは、該当地域だけでなく、全国の情報を持っている上に無料で相談可能です。
老人ホームや介護施設は、入居待ちになっている施設もあるためさまざまな地域の情報を集めて損はありません。民間の紹介センターを利用して、入居できる施設を探すのもよいでしょう。
まとめ
ここまで、老人ホームと介護施設の違いや分類、老人ホームと介護施設の費用面での違いなどを紹介しました。老人ホームと介護施設は公的施設と民間施設に分けられ、入居条件や費用もさまざまです。
自分にあった施設の選び方がわからない方は、地域包括支援センターや民間の紹介センターへ相談すると施設選びが進展するでしょう。本記事を参考に、自分にあった老人ホームや介護施設を探してみてください。