特別養護老人ホームとは?入所基準やメリットなど気になるポイントを徹底解説

特別養護老人ホームとは?入所基準やメリットなど気になるポイントを徹底解説

特別養護老人ホームは、安価に介護サービスを受けられる施設です。この記事では入所基準やメリット、受けられるサービスなど、利用を検討するときの気になるポイントなどについて詳しく解説します。

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームとは、自宅で生活するのが難しい高齢者が入居できる公的施設です。

具体的な入居基準としては、要介護認定を受けた方や、特例入居を認められた人のみが利用できる施設です。利用料金が低く設定されている場合が多く、非常に人気があります。

以前は、入居希望者が多く入りづらい印象がありました。しかし、基準が厳しくなったため、地域によっては入居しやすくなった場合も見られます。

特別養護老人ホームの種類は主に3つ

特別養護老人ホームの種類は主に3つ

特別養護老人ホームの種類は、主に以下の3つが挙げられます。

  • 地域密着型
  • 地域サポート型
  • 広域型

種類ごとに入所の条件や受けられる介護サービスなどが異なります。利用を検討する場合は、いずれの種類に該当する施設なのかを確認するようにしてください。ここではそれぞれについて解説します。

1.地域密着型

地域密着型の特別養護老人ホームは、入所定員が29人以下、当該の施設がある市区町村に住んでいる人だけが利用できます。少人数の受け入れ態勢となっているため、アットホームな雰囲気の中で生活を送れるのが魅力です。

地域密着型と呼ばれているように、周辺コミュニティとのつながりを重視しています。また、ショートステイやデイサービスなどを併設している施設が多い傾向です。

2.地域サポート型

地域サポート型の特別養護老人ホームは、在宅介護をしている高齢者を支援する施設です。24時間体制で在宅介護者の生活をサポートしてくれます。日中は各家庭を巡回し、夜間は緊急時の対応や看護師への相談を受けられます。

特別養護老人ホームとしては、施設数が少ない傾向にある種類です。自宅での生活に不安がある人や、見守りサービスを希望する人向きのサービスを提供しています。

3.広域型

広域型の特別養護老人ホームは、当該の施設がある市町村以外に住んでいる人でも利用できます。また、定員が30人以上の施設は「広域型特養」と呼ばれています。

地域密着型と異なり、入居するための条件に住所の制限が定められていないため、自宅から遠く離れた施設にも入居できることが特徴です。そのため、家庭の事情や費用面などの条件に合わせた施設を選べます。

特別養護老人ホームの入所基準

特別養護老人ホームの入所基準

特別養護老人ホームの入所基準は、2015年から厳しくなりました。原則、要介護認定3以上を受けた高齢者が対象です。

しかし、事情によっては要介護認定1・2の人でも特例入居が認められる場合があります。特例入居が認められる要件には、以下のようなものが挙げられます。

  • 日常生活に支障をきたす認知症の症状や行動が見られる
  • 知的・精神障害を伴い、日常生活が困難な状態ある
  • 家族からの深刻な虐待が疑われる
  • 単身家族や病弱など家族の支援を期待できない

いずれの場合も、在宅生活が難しいと認められる人が対象となります。詳細な要件は、自治体へ問い合わせてみてください。

利用料金の特徴

利用料金の特徴

特別養護老人ホームは公的な施設となっているため、費用は健康保険の対象となるサービスの1割を利用者が負担します。また、介護認定や施設の提供サービス、体制などによっても異なります。

介護サービス以外の「居住費、生活費、食費」などは自己負担です。居住費は、個室や相部屋などの違いによって自己負担額が変わりますので、事前によく確認しておきましょう。

生活費は施設によって異なりますが、10,000円程度の負担が必要です。また、食費は1日1,380円程度となり、月に42,000円程度の費用がかかります。

介護認定や居住する部屋のタイプによって、月額は大きく異なりますが、10万円程度の費用から入居可能です。

特別養護老人ホームを利用するメリット

特別養護老人ホームを利用するメリット

特別養護老人ホームを利用するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 倒産や閉所リスクが少ない
  • 入所一時金の必要がない
  • 安い費用で利用できる
  • 減免制度がある
  • 終身入居できる

特別養護老人ホームは、自治体や社会福祉法人が運営しているからこそ、安い入居費用や安定して介護を受けられるなどのメリットがあります。また、介護スタッフ常駐が定められているため、充実した介護環境のもと生活を送ることが可能です。

特別養護老人ホームを利用するデメリット

特別養護老人ホームを利用するデメリット

特別養護老人ホームを利用するデメリットもいくつかありますので、チェックしておきましょう。

  • 原則、要介護3以上の認定を受けなければ入居できない
  • 入居まで時間を要する場合がある
  • 医療体制には限界がある

メリットが豊富である代わりに、入居条件が厳しく定められていることや、待機者が多い場合は利用できるまで数年単位で待たなければならないことなどがデメリットです。

また、医療依存度が高い高齢者の場合は、特別養護老人ホームではなく看護師が24時間常駐、もしくは病院に併設された老人ホームを検討することをおすすめします。

特別養護老人ホームで提供される主なサービス内容

特別養護老人ホームで提供される主なサービス内容

特別養護老人ホームで提供される主なサービス内容には、以下のようなものが挙げられます。

  • 食事
  • 入浴
  • 排泄
  • リハビリ
  • レクリエーション

いずれも入居者が、充実した毎日を過ごすために欠かせないサポートばかりです。ここでは特別養護老人ホームで提供されているサービスの内容や、特徴などをそれぞれについて解説します。

食事

食事は、栄養士が栄養バランスや身体の状態や嗜好を考えた献立のものを提供しています。自立を促すために、可能な限り離床して食事するようにしたり、一般的な家庭と同じような時間帯に提供したりと、さまざまな工夫を凝らしたサービスを受けることが可能です。

食事は楽しみのひとつともいえるため、旬の食材を使う、誕生日には特別な料理を提供する、行事にちなんだメニューなど、入居者は変化に富んだ食事を楽しめるでしょう。

入浴

多くの特別養護老人ホームでは、週に2回の入浴とされています。もしも「もっとお風呂に入りたい」と希望する場合、3回以上の入浴を提供している施設から検討しましょう。

また、入浴できない場合は清拭(せいしき)して清潔な状態を維持してくれるサービスが提供されています。さらに、寝たきり状態や車椅子の人でも機械浴槽などを使っての入浴ができるため、安心してお風呂に浸かれるでしょう。

排泄

排泄は、入居者の身体能力を活用した援助が基本です。しかし、尿意・便意がない人に対しては排尿間隔を施設側が把握し、トイレに誘導するように工夫がされています。

また、自力でトイレまで移動できる人には、可能な限りトイレで排泄できるように促します。ただし、寝たきり状態の場合は、ベッドで排泄介助を受けられます。

リハビリ

利用者の状況に応じて、食事や排泄など日常生活を送るために必要な身体機能の維持や改善するための訓練が提供されています。

基本的には、生活リハビリが中心となりますが、理学療法士や作業療法士が積極的に取り組めるようなプログラムを考案してくれます。最適なリハビリを行うことで、身体機能を維持したり社会活動へ参画したりとさまざまな効果を期待できるでしょう。

レクリエーション

手先を使う手芸や習字、身体を使う遊びなど、リハビリにつながるレクリエーションが提供されています。

また、特別養護老人ホームでは、夏祭りやクリスマスなどの年中行事が企画・運営されています。また、ショッピングやお花見など季節に合わせた外出など、さまざまなプログラムが提供されており、充実した日々を過ごせるでしょう。

特別養護老人ホームを利用する際の3つの注意点

特別養護老人ホームを利用する際の注意点には、以下の3つが挙げられます。

  • 医療体制は不十分
  • 入所条件のハードルが高い
  • 途中退去しなければならない場合がある

特別養護老人ホームは安価に利用できる・生涯入所可能などのメリットが豊富です。しかし、注意点もあることを理解しておかなければなりません。ここではそれぞれについて解説します。

1.医療体制は不十分

特別養護老人ホームは、介護スタッフの常駐が定められていますが、看護師を24時間配置する義務はありません。そのため、医療体制は不十分である可能性が考えられるでしょう。

看護師の配置や緊急時の体制などは入居を検討する際、特に注意しておきたいポイントです。施設で対応できないと判断されると、退去を求められることもあります。そのため、医療的ケアが必要な場合は、慎重に判断しましょう。

入所条件のハードルが高い

特別養護老人ホームの入所条件は、要介護認定3以上の人です。制度改正の影響もあり、要介護認定1・2の人が入居するのは非常に難しい状況だといえるでしょう。

また、特別養護老人ホームは安価に利用できるため、とても高い人気があります。施設の待機状況によっては、スムーズに入居できないおそれもあります。事前にケアマネジャーへ相談して、最適な施設を選ぶようにしてみてください。

途中退去しなければならない場合がある

特別養護老人ホームは、基本的に終身入居できます。しかし、以下のような場合は途中退去を求められる場合も考えられるでしょう。

  • 体調悪化が見られ入院や医療ケアが必要になった
  • ほかの入居者に対して迷惑行為をはたらいた
  • 介護スタッフや職員に暴力を振るった

心身ともに退去リスクが考えられる場合、事前に医療機関へ相談して適切な治療を受けるなどの対策を検討してみてください。

まとめ

まとめ

特別養護老人ホームは、安価に介護サービスを受けられる施設として人気があります。しかし、入所するためには厳しい基準が定められており、地域によっては待機状態となる場合も考えられます。

入所が認められると、食事や排泄、入浴などを個人の状態に合わせた介助を受けながら生活を送ることが可能です。特別養護老人ホームは、生涯にわたり健やかな日々を送る手助けをしてくれるため、入居者・家族ともに安心して生活を任せられるでしょう。

この記事を書いた人

かいごマガジン編集部

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