- 2026.10.30
1秒を争う命の現場で「いま、私たちができること」〜いずみ野消防出張所の皆さんをお招きし、救命処置研修を開催しました〜
皆さんこんにちは!
養護白寿荘の伊藤です。
朝晩の冷え込みが厳しくなり、体調を崩しやすい季節となってまいりました。
先日 10月23日(金)14:00より、いずみ野消防出張所の皆様をお招きし、施設内研修「救命処置の手順」 を開催いたしました。
職員一同、真剣な眼差しで臨んだ実践研修の様子と、「命を救う救命処置のポイント」をご紹介します。
ご家庭や地域での「もしも」の時にも大変役立つ知識ですので、ぜひ最後までご覧ください!
救命処置の重要性とプロ直伝の正しいステップ
今回の研修では、消防隊員の指導のもと、倒れている人を発見した際の最初の対応からAEDの使い方、救急隊到着までのバトンタッチに至るまでの一連の流れを実践形式で学びました。
1. 安全確認と「段階的な呼びかけ」
倒れている人を発見したら、真っ先に「周りの安全確認」を行います。
車通りや周囲の安全を確保した上で接触します。
声かけのポイントは、一気に強く触らないこと。
最初は優しく「大丈夫ですか?」と声をかけ、反応がなければ少し肩を叩き、3回目に強く肩を叩きながら大きな声で物理的な刺激を与えて意識を確認します(単に寝ているだけの場合、驚いて起き上がるリスクを防ぐためです)。
2. 人を集めて「指名して依頼する」
意識がないと判断したら、すぐに人を集めます。
1人での救命活動には限界があります。
助けが来たら、「誰かAED持ってきて!」「誰か119番通報して!」と大声で叫ぶのではなく、「あなた、AEDをお願いします」「あなた、119番通報をお願いします」と、人物を指名して指示を出すことが重要です。
指示を曖昧にすると、周囲が遠慮して動けない可能性があるためです。
3. 呼吸の確認は「10秒以内」
胸とお腹の動きを見て、普段通りの呼吸があるか確認します。
判断に迷ったら「胸骨圧迫(心臓マッサージ)」を開始する: 呼吸があるかないか分からない場合、1〜2分も迷っていると心停止時の対応が遅れてしまいます。
「わからない」「迷った」場合は、すぐに胸骨圧迫を開始して構いません。
「死に瀕した呼吸(死エン期呼吸)」に注意: 意識がない状態で口がパクパクと動いていることがありますが、これは有効な酸素を取り込めている呼吸ではありません。
胸とお腹が正しく上下しているかを見極める必要があります。
胸骨圧迫(心臓マッサージ)~絶え間ない「強さ」と「速さ」が命を繋ぐ~
胸骨圧迫は、胸の真ん中に手を重ねて置きます。
肘をピンと伸ばし、肩の真下に手首がくる姿勢を作ります。
深さ: 約5〜6cm(しっかりと沈み込ませ、押した後は胸が元の高さに戻るまでしっかり戻す)
テンポ: 1分間に100〜120回(「アンパンマンのマーチ」のテンポが目安)
コツ: 「強く・早く・絶え間なく」
※感染症対策の観点から、現在は人工呼吸を省略し、救急隊が到着するまで胸骨圧迫を継続することが推奨されています。
AED(自動体外式除細動器)の正しい知識
AEDは「心臓を動かす機械」ではなく、「心室細動などで痙攣(けいれん)し、ポンプ機能を失った心臓に電気ショックを与えてリセットする機械」です。
1. 必ず「素肌」に直接貼る: 服の上からでは有効な電気ショックを与えられません。
2. 傷跡やペースメーカーがある場合: 心臓を挟み込む位置関係であれば、左右反対や前後に貼るなど柔軟に対応可能です(迷ったらパッドのイラスト通りに貼るのが基本です)。
3. ベッドの上ではなく「硬い床」で行う: ふかふかのベッドの上では押す力が逃げてしまうため、床に下ろすか背板を敷いて実施します。
4. 解析・ショック時は必ず離れる: 機械が「離れてください」と言ったら、絶対に周囲の人全員が体から離れます。
講習で深まった「チームプレー」と「現場のコツ」
研修後半では、2グループに分かれて人形と訓練用AEDを用いた実技トレーニングを行いました。
講師の消防隊員の方から、現場だからこそ活きる貴重なアドバイスをいただきました。
AEDを持ってきた人は「音声メッセージを復唱する」
胸骨圧迫をしている人は集中していて機械の音声が聞こえないことがあります。
AEDを持ってきたサポート役が「今解析中だから触らないで!」「ショックボタン押すよ!」と復唱してあげることで、周囲との連携がスムーズになります。
119番通報は「傷病者の目の前で」行う
司令室からの状況確認(呼吸の有無や意識状態など)にその場で正確に答えるため、必ず傷病者のすぐそばからスピーカー通話などで通報することが大切です。
救急隊に引き渡すまで「やめない」
救急隊が到着しても勝手に中止せず、指示があるまで胸骨圧迫を継続します。
なお、本人が意識を取り戻し、手を払いのけるなどの明確な拒否反応を示した場合は一度中止して様子を観察します。
普段の意識が、誰かの命を救う
消防隊員の方のお話によると、救急隊が到着した時点で心臓が完全に止まってしまっているケースが多く、第一発見者(その場にいた人)がどれだけ早く胸骨圧迫とAEDを行えたかが社会復帰率に直結するとのことでした。
1分1秒を争う現場において、私たちがまずできること——それは「普段から街や施設の中のどこにAEDがあるかを把握しておくこと」です。
通勤路、よく利用するスーパーや施設など、「あそこにあったな」と頭に入っているだけで、いざという時の初動スピードが劇的に変わります。
白寿荘では、ご利用者の健康管理はもちろんのこと、こうした万が一の緊急事態にも迅速・確実に対応できるよう、今後も定期的な講習を重ねてまいります。
いずみ野消防出張所の皆様、丁寧で実用的なご指導を本当にありがとうございました!