寿で暮す人々あれこれ
72/189

— 70 —い表情は、無辜の人間の限りない優しさと思えてならない。時々、坪井さんの風貌を思い出す。ここ3年間ほど、坪井さんには会えていない。神さまは、今頃、何処でなにをしているのだろうか…。土方は、現場では力仕事や雑役をこなすが、それだけにいろいろな仕事の進め方(段取り)や技術を知らないと現場に対応できない。土方とは、その漢字を分解すると十一の方法のことで、物知り、熟練を指す。土方とは熟練でないと現場ではやっていけないのである。余談だが、土方が手ぬぐいを額に巻いた格好を良く見ると思うが、目にしみないように汗止め、汚れを洗い流し拭く、ケガのときの包帯代わり、そして、もし現場の事故で死んだ時には、顔にかけて欲しいという願いが込められている。(ある労働者の談)※4 土方(土工):土木建築の現場で働く単純肉体労働者を指す呼称。土木作業員とも呼ばれる。下請けや孫請けなど小さな会社に一日単位や一ヶ月以内の期間を定めて雇用される。現場の最先端で働くので労災事故があった時は真っ先に犠牲になることが多い。真面目は、意地悪!? ─ 老人クラブの人間模様寿の老人クラブ、檪くぬぎの会とのお付き合いは長い。昭和47年7月に当所で発会式をあげて以来である。現在の寺田会長は6代目。クラブと保育所との関わりは長く深い。印象にのこるいろいろな会員の方が数々いらっしゃる。多くは鬼籍に入られた。クラブの登録会員は、80余名。クラブ室に集う老人クラブの常連は多くて10数人、少なくて6~7人。メンバーが多い時はなにかとトラブルが起こって減少したりする。見えざる神の配慮なのか?経験上、7~8

元のページ  ../index.html#72

このブックを見る