寿で暮す人々あれこれ
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— 57 —寿で暮らす人々あれこれ更ながらその存在の大きさを感じさせられた。お別れの会でスピーチに立ったM神父は、普段と変わりない姿だった。自分にも、仲間にも依存を生まないバトンタッチだったと思うようになったのは、それなりの時間がたってからであった。32年ほど前の草創期の個性あふれる3人のうち、T神父、R神父はすでに天に召された。M神父は、アメリカの故郷に健在で日本で記念のセミナーがあると時に来日する。M神父のソーバーは45年ほどだと思うが、その口癖のひとつ。「ワンデイ・今日一日です」改めて3人の依存症の神父に感謝!追 記9月はじめ、M神父の突然の訃報が届いた。9月29日、イグナチオ教会で追悼式が行われた。弔辞の中で弟さんからの便りが紹介された。コネチカット州の自宅の庭で、夕方、隣に住んでいる弟さん夫婦といつものように談笑して、また明日と別れた。翌日、弟さんは、車庫に車があったので仕事に行ってないのかと家に入って行った…高等学校の理事長が最後のお仕事だった。享年77歳。冥福を祈るのみ。※1 AA:昭和10年(1935)、アメリカはオハイオ州アクロンで始まった自助グループ活動。現在は世界各国に広がって、数百万の回復した依存症者が、まだ苦しんでいるアルコール依存症者の回復のため主体的に活動している)※2 大宮ハウス:AAの12ステップを参考にプログラムが作られたアルコール依存症者のリハビリ施設。共同生活が回復プログラムであるよう工夫されていた。昭和53年、デイケアセンター「三ノ輪マック」が開設するとともに閉鎖した。

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