寿で暮す人々あれこれ
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— 27 —寿で暮らす人々あれこれう。腰が少し曲がって、やせていて、日に焼けたしわだらけの顔に目がくりっとしていてかわいい。「この茣ござ蓙あずかって」とおいていった。時々、あいさつに来て雑談し、茣蓙を持って出て行く。そして、またあずけていく。どんな方なのだろう?興味がわく。ある日、おばあちゃんが、心配そうな顔をして相談したいことがあるとやってきた。「生活保護が打ち切られるの」とのことだった。話を聞いてみる。おばあちゃんは、時々、伊勢佐木町商店街の入口の吉田橋に茣蓙を敷いて座る。前に空き缶を置く。半日位すると千円ほどになるという。それをもって、川崎に行き好きな映画を見て、うどんを食べてくるのだそうだ。それが無上の楽しみという。ある日、吉田橋で座っているところを福祉の担当さんに見られたのだという。それで、後日、保護は廃止ということになったようなのである。僕は、ウームとうなってしまった。担当の方とおばあちゃんを交えて話し合いをした。担当さんの主張は、おもらいさんの収入を「届けなさい」ということである。話し合いの結果は、おもらいさんはしないということになってしまった。おばあちゃんの無上の楽しみが失われた瞬間だった。以来、おばあちゃんは来なくなってしまった。僕は、大切な落し物をしたような頼りないさびしい気持ちだった。生活芸!? ─ ガジリヤさんのこと寿の町にはさまざまな人が住み、暮らしている。ガジリヤとは、聞きなれない言葉だと思う。「がじる」とは、いわば、獲えもの物に食いついたら離れないでしつこく食い下がる様子と言ったらいいだろうか。ある日の夕方、

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