寿で暮す人々あれこれ
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— 178 —ダルクで落ち着いてきたといいます。それから回復が始まりました。ちなみに、アルコール依存症のグループホームでは、門限は有効に機能しているようです。決まりを守るという点からいうと、アルコール依存症者は、働くなど社会経験のある人は多いのですが、薬物依存症者には10代から打つ人が多く、社会経験が少ない人が多い、というところに違いがあるようです。薬物依存症者には、決まりを守らせる、決まりを強いることの効果は疑問符が付くようです。さて、命よりもお酒や薬を大事にしてきた依存症者が、お酒や薬をやらないで生きる生活に踏み出すには、時期というのがあるようですが、本人がどう感じるかは予測できません。多様な施設やプログラムを根気よく経験してもらうことが必要です。やがて本人に「気づき」がおとずれます。回復のプログラムを、入院の時、飲酒運転摘発時、拘置所や刑務所に在監中に優先されるべきは、依存症のガイダンスと回復のプログラムを伝えることです。あるいは、ミーティングを体験してもらうことです。回復している本人の話によると、病院や刑務所にいる期間が長いとアルコールや薬を病院や刑務所に預けた気分で比較的気軽に過ごせてしまう傾向があるといいます。そして、退院や出所時には、どう飲むか、どう使うかに心が奪われてしまうといいます。一方でこういう話を聞きます。退院した時、出所した時、その足でアルコールリハビリ施設や自助グループのミーティングに出席したことで、飲まない、使わない今の生活につながったと。それは、入院中や在監中にアルコールや薬物の治療や方法を知り、また、地域の回復施設の存在について知っていたり経験したことがある場合です。ダルクは今、法務省・刑務所とのつながりもでき全国に数十の施設を運営しています。薬物依存症の再犯率が高いことから「更生」という意志の力に頼る誤りから「回復」という正しい治療を受けるという方向で司法関係者との協力が進んでいます。

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