寿で暮す人々あれこれ
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— 166 —と感じていた人、なるべく接したくないと避けていた人、嫌いだった人などが全く違って見えてきたことでした。とても身近に思えて話を聞くことが楽しくなりました。雑談でと言った方が当たっているでしょう。その中で相談になるのはその結果といえるものでした。一人ひとりかけがえのない人生と思うとその重さを侮ることはできませんし、敬意を持つことしかできません。今ここに在り生きているということ自体がすごいことなのだと思いました。相談が大変だと言う気持ちも薄らいできました。何かをしてあげなければならないと思いこんでいる自分から解放されてきた感じがします。どんな問題も僕の問題ではなく「本人」の問題です。その問題を僕がとりあげてしまうのではなく本人がどうしていくのか気長に見ていくというのは、楽しくすらありました。寿の人たちは、すべてということはありませんが、社会の問題によって新たに制度が作られる度にその網の目からすり抜ける人たち、どんな網に本船のハッチで一服

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