— 145 —寿で暮らす人々あれこれ違いだったと分かった時、依存症者はどんな気持ちになったでしょうか。その気持を想像するのは大事なことだと思います。さて「体質」という受け止め方が、医学的に正しいのかどうなのかは別にして、依存症者には、この「体質」の病気というのは体験からも納得しやすいようです。長くつきあった僕も納得です。寿の単身のアルコール依存症者の寸描。皆さん、日雇労働をしながら5年、10年と病状を悪化させてきた方々です。三ノ輪マックに通い、夜は地域のAAミーティングに出席し回復の道を歩みました。所属グループは寿出身者が主なメンバーである横浜グループ、寿グループ。ソブラエティー(プログラムと仲間で飲まない生活のこと)は長い人で30年になります。Kさん:仕事も続かず、生活も破たん、何故路上で寝ないとならないのか…。回復してから、お母さんを横浜に呼んで、日光観光の旅をプレゼント。お母さんの素朴な笑顔が印象に残る。アルコールデイケアセンターの職員になる。後に結婚。産廃事業所に就職。八王子市に転居。やがて奥さんの介護が必要になり、AAの新しい仲間の支援を続けながら、奥さんが亡くなるまで介護を続ける。石川県の仲間にメッセージを届けるからと僕を誘ってくれ、途中の温泉で背中を流してくれました。Sさん:長年連れ添った妻も、飲んでいる時は邪魔だったと言います。その後、奥さんは施設に入所。本人はAAに通い回復。奥さんの施設に訪問面会を続ける。奥さんは亡くなり葬儀を行う。現在、車椅子の生活となり寿に在住。AAミーティングに出席し、新しいメンバーの世話をしている。
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