寿で暮す人々あれこれ
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— 144 —Aさん。県警の剣道の達者でしたものだから、個人の育ちや性格や学歴など本人の故事来歴は関係がありません。この病気を医師や専門家の見方でなく、依存症者本人からみるとどうなのでしょうか。回復を歩み出した方々の片言からみてみましょう。多くのアルコール依存症者は、病気ということを聞き、驚きを持って「そうだったのか」と経験に照らして納得し、長年の苦しみや疑問から解放され楽になったと語る方が多い。ちなみに、家族の方は「様々な非人間的な行為」が病気だとはとても受け入れられない、と受け止める方が多いようです。依存症者の方の体験からの言葉に「一杯でも多すぎ、千杯でも少なすぎる」というのがありますが、これはコントロール喪失の体質(一種のアレルギー体質)を見事に言い表した言葉だと思います。また、何年もやめていれば、少しくらいいいだろうと普通は思いがちです。一杯に手をつけると病気の再発になります。自分の育ちや性格のせいではなかった、親や妻や自分を責めたことは間

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