— 111 —寿で暮らす人々あれこれ明するため例をあげよう。艀はしけの荷物を倉庫に搬入する仕事とする。請負額は15万円。人にんく工(数)は10人。デズラ(日当)は1人1万5000円になる。寝方を3人でその賃金を3000円とすると、寝方以外の7人の労働者は、1万5000円のデズラに5000円ほどが上乗せされる勘定になる。ネカタでない労働者には高賃金を保障する仕組みでもある。実はそれが本当の狙いなのだろう。寝方には、高齢者、一人前でない者、病み上がりや怪我で働けない仲間を連れていったりする。頭とりもまたそういう人を選ぶようである。あまり仕事に就けない事情を抱えている人には貴重な収入となる。ネカタは過酷な港湾労働の中で、さりげなくしたたかに共存している。労働現場の必要によって消えたり出現したりする。昨今「ネカタ」を求める声は聞かなくなった。頭とりもいなくなってしまった。社会の変化もあるだろう。管理が行き届き現場での自由裁量がなくなったのだろうか。きわどい相互扶助がなくなってしまった。日雇市場も様変わりしてきてい中村川、今、この上は首都高狩場線に
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