寿で暮す人々あれこれ
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— 104 —談があった。毎日訪ねてくることを条件に薬を預かった。毎日顔を出した。寝られない苦しさを訴える日が続いた。本人は気付かないが断続的に寝ている様子がうかがえた。やがて、うとうとする、になり、少し寝られたとなってきた。そして25日目「きた!きた!きたよ!」と彼が興奮して相談室に飛び込んできた。「寝られたんだよ」彼のこんな嬉しい顔は見たことがなかった。そして、AAにも進んで通うようになった。あれから数年、飲まない生活が続いている。彼は、肺気腫を病んで酸素ボンベが欠かせない生活となった。でも、穏やかな生活が続いている。「ハッタリ八分と見せかけ二分」のセリフはもうきかなくなった。寿の保健婦さん ─ 渡辺保健婦のこと今回は、寿で保健婦として活躍した亡き渡辺保健婦さんの思い出を書きます。ハッタリにやさしさを隠して

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